介護業界に転職する場合、ハローワークだけでなく介護士専門の転職サイトを利用される人もおられると思います。とはいえ、どの転職サイトを選べば良いか迷うことがあります。この記事では、転職サイトの選び方や使い方のコツなどを解説していきます。
1.介護士転職サイト選びでのコツ、注意点
転職を検討中の介護士にとって、強い味方になってくれるのが介護士専門の転職サイトです。介護士求人の紹介はもちろん、応募書類の添削や面接のスケジュール調整、職場見学への同行など、幅広いサービスを無料で受けられるケースがあります。
特に「現在介護の仕事をしながら、新たな職場を探している」という方にとっては、転職活動を効率良く進めるための必須サービスと言えるでしょう。ハローワークで地道に介護職の求人を探すよりも、質の高い求人を見つけられる可能性があります。
とはいえ、「介護士転職サイトなら、どこを選んでも同じ」というわけではありません。自身のニーズに合ったサービスを受けるために、介護士転職サイト選びのポイントを知っておきましょう。
サイト選びのコツや注意点における、7つのポイントを解説します。
1.1 「エージェント型」と「サイト型」の違いについて
介護士専門サイトに限らず、転職サイトには大きく以下の2つのシステムがあります。
- エージェント型
- サイト型
「どちらも似たようなもの」と捉える方は多いですが、実際にはそれぞれが全く異なる性質を持っています。まずは両者の違いを把握しておきましょう。
エージェント型とは、サービスを利用する一人ひとりに専属アドバイザーがつき、転職活動をサポートしてくれるサービスのことです。
「転職したい!」という希望があっても、具体的に自身のキャリアがどの程度で、どういった職場を探しているのかを、すべて自分で把握するのは難しいものです。エージェント型のサービスであれば、アドバイザーによるキャリア相談や選考を突破するための各種サポートなど、幅広い支援を受けられるでしょう。
転職エージェントは、人材を探している企業と密に連携を取っています。企業の詳細情報を把握したうえで、条件にマッチした求職者に紹介することで、転職成功を後押ししてくれるでしょう。
一方で、サイト型から提供されるサービスは、「求人情報」のみです。一部、「キャリアコンサルタントによるサポート」を売りにする求人サイトもありますが、基本的には「サイト上に公開されている求人情報を自由にチェックできるサービス」となります。気になる求人を見つけたら、転職者が直接応募し、企業との間で直接やりとりを進めていくスタイルです。
介護士転職サイトを初めて利用する方にとって気になるのは、その利用料についてでしょう。転職サイトも転職エージェントも、サービスを提供するための費用は求人情報を掲載したい企業側が支払うケースが一般的です。
転職希望者に経済的な負担が発生することは、まずないでしょう。ちなみに、転職サイトの場合は「求人情報掲載時」に企業の金銭的負担が発生します。
一方で転職エージェントの場合は、「実際に転職者が決まった段階」で料金を支払います。エージェント型のサービスの場合、転職者が決まらない限りエージェント側には儲けが発生しないため、転職成功に向けて利用者は手厚いサポートを受けられるのです。
1.2 「転職サイト」と「転職エージェント」を使い分ける
転職サイトと転職エージェントには、それぞれ異なるメリットがあります。だからこそ、自分自身のニーズに合わせて使い分けることが大切です。
サイト型の場合、受けられる支援は少ないものの自由度は高めです。求人応募や面接のスケジュール調整など、自分自身で動く場面が多いからこそ、好きなタイミングで進めていけます。
また、エージェント型の場合、アドバイザーは「転職希望者が保有している資格や過去の経験」を参考に、応募先企業を紹介するでしょう。もちろんそれは、「決まる可能性が高いから」というエージェント側の配慮なのですが、未経験職種などへのチャレンジ応募は難しくなってしまいます。
「より多くの求人情報をチェックして、自分にどの職場が合っているのか見極めたい!」と思う方は、転職サイトのほうが向いているでしょう。
一方で、より確実に素早く転職したい場合には、転職エージェントを活用したほうが有利です。「年収をアップさせたい」「職場環境にこだわって転職先を探したい」といった、こまかなニーズにも対応してもらえます。また、応募書類のチェックや転職手続きの代行など、幅広いサポートを受けられる点も特徴の一つです。時間がない方でも、計画的に転職活動を進めていけます。
転職サイトと転職エージェントは、一概に「どちらのほうが優れている」とは言えません。ただし、次のような状況に当てはまる場合は、転職エージェントを選ぶほうがメリットは大きくなるでしょう。
- なんとなく転職したいと思いつつ、時間だけが過ぎていってしまう。
- 転職サイトをチェックしても、気になる求人が見つからない。
ぜひ自分に合ったタイプを見極めてみてください。
1.3 目的に合った「転職サイト」「転職エージェント」を選ぶ
転職サイトと転職エージェントの、どちらを選んだ場合でも、大切なのは「自分の目的に合っていること」です。それぞれで提供されているサービスの「質」についても、ぜひ注目してみてください。
転職サイトも転職エージェントも、インターネット上に多数のサービスを提供しています。他所では公開されていない非公開求人を売りにしているところもあれば、福利厚生や資格取得支援に力を入れているところもあります。
派遣や単発などという、幅広い働き方に対応したサイトや、介護士以外に介護に関わる幅広い職種も扱っているサービスもあるでしょう。自分の目的に合ったサービスを選べば、希望の転職先情報が見つかりやすくなるはずです。
1.4 「サポート力の高さ」、「求人数の多さ」について
転職サイトや転職エージェントを選ぶ際には、ぜひサポート力と求人数に注目してみてください。サポートが充実していれば、転職活動を有利に進められる可能性は高いです。自分自身が苦手とする部分を補ってくれるサービスを選択するといいでしょう。
また、転職サイトや転職エージェントを利用するうえで、扱っている求人数の多さは非常に重要なポイントになります。転職先を妥協なく選ぶためには、ぜひ求人数の豊富なサービスを選択してください。
1.5 担当者が自分に合うかどうか。合わない場合は変更できるかどうか
転職エージェントを利用する場合、担当のアドバイザーとの相性が非常に重要な意味を持ちます。
担当者と反りが合わなければ、自分の理想を理解してもらうのは難しいでしょう。結果として、自身の希望に合わない職場を紹介されてしまう恐れがあります。残念ながら、アドバイザーの中には「正直ハズレ」と感じてしまう人もいます。
次のような不満を抱えた場合は、エージェント側に担当者変更を申し出ましょう。
- 話がかみ合わない。
- なんとなく話しづらい。
- 過去のキャリアや今後の希望について余計な口出しを受ける。
- 自分の希望を無視して、「入社させたい企業」ばかりをすすめてくる。
- 連絡頻度にストレスを感じる(多すぎる、少なすぎるなど)。
- プレッシャーを感じる。
担当者の変更が可能かどうか、またその具体的な方法についても、事前に確認しておくと安心です。
1.6 担当者に嫌われないためには
先ほどもお伝えしたとおり、エージェントを使った転職では担当者が、成功させられるかどうかの鍵を握っています。
相性の良い相手を見つけることが大切ですが、転職希望者側にも「担当者に嫌われない努力」が求められるでしょう。
まず、自分の経歴やスキルを正直に伝えましょう。虚偽の報告をすれば、信頼関係が損なわれてしまいます。仕事とはいえ、貴重な時間を使って転職活動をサポートしてもらっているわけですから、真摯な姿勢で対応してください。
また、次のような行動も嫌われてしまうポイントになります。
・適当に対応する
・さまざまな提案を受けても文句ばかり言う
・担当者の意見に全く耳を貸さない
「転職希望者とアドバイザー」という関係性ではありますが、より良い人間関係を構築できるように意識してください。すべて相手の言いなりになる必要はありませんが、誠実に対応し、相手の意見に耳を傾けるだけで、印象は良くなるでしょう。
1.7 NGな介護士転職サイト、転職エージェントとは
介護士転職サイトや転職エージェントが増えている今、残念ながらあまりおすすめできないサービス会社もあります。
担当者が親身になってくれないサービス会社や、求人情報が充実していないサイトは避けたほうが良いでしょう。また、サービスそのものは充実していても、「自身の居住地周辺の求人をほとんど掲載していない」といったケースがあります。効率良く転職活動を進めていくためにも、自分の条件に合ったサービスを使用してください。
介護士転職サイトや転職エージェントは、無料で利用できるサービスです。一つのサービスにこだわらず、複数のサービスを使い比べてみることで、自分に合うサービスとNGなサービスを見極めやすくなるでしょう。
2.介護士転職サイトの基本的な利用の流れ
介護士転職サイトを利用する際に、気になるのが使い方についてです。基本的な流れをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
2.1 公式ホームページより、自分の情報を登録する
まずは気になる転職サイト上に、ご自身の情報を登録しましょう。ほとんどのサイトで、以下のような情報を入力するように求められます。
- 希望の働き方
- 希望の勤務時間
- 希望の転職時期
- 保有資格
- 住所
- 氏名
- 連絡先
求人サイト型とエージェント型の両方のサービスを提供している転職サイトの場合、どちらを希望するのかも入力しましょう。サイト型を選択した場合、これで求人情報をチェックできるようになります。
2.2 担当アドバイザーからの連絡と面談
エージェント型を希望した場合、登録した内容をもとに、担当アドバイザーから連絡が来ます。30分から1時間程度の面談を行い、次のような転職活動の方針について話し合いましょう。
- 転職について、どのような希望を持っているのか?
- 今後のキャリアプランをどう考えているのか?
- 何がきっかけで転職を考え始めたのか?
- どのような職場で働きたいのか?
面談は、あくまでも転職希望者の希望に沿った求人を紹介するためのもの。何か審査をされるわけではありませんから、リラックスして臨みましょう。この段階で、担当者との相性を確認しておくのがおすすめです。
2.3 求人紹介と応募
面談内容をもとに、担当アドバイザーから求人の紹介を受けます。それぞれの職場の特徴や実績についても、詳しい説明を受けられるでしょう。紹介された求人の中から気になるものを見つけたら、応募手続きへと進みます。
2.4 選考突破のための各種対策
エージェント型の場合、選考を突破するための各種対策を行ってもらえます。履歴書や職務経歴書の書き方で悩む方向けのアドバイスや、面接対策などがあります。転職のプロが合格のコツをしっかりと教えてくれますから、ぜひ参考にしてみてください。
2.5 面接による選考
応募した職場にて、面接試験を受けます。聞かれる可能性が特に高いのは、前職を辞める理由についてです。ネガティブにならないよう、何を伝えるのか、事前にしっかりとシミュレーションしておきましょう。
2.6 内定
面接を突破すれば、内定がもらえます。この段階で、転職先が決定します。仕事を続けながら転職活動を行っている場合は、勤務開始日に合わせて、退職準備を進めてください。退職準備までサポートしてくれるエージェントが少なくありません。
2.7 仕事スタート
いよいよ新しい職場での業務がスタートします。仕事をスタートさせてからも、担当アドバイザーは次のように様子をうかがってくれます。
- 職場に馴染めているか?
- 仕事内容にギャップを感じていないか?
いつでも相談できますので、新しい仕事を不安なくスタートさせられるでしょう。仕事を探す段階だけではなく、実際に働き始めたあともサポートを受けられる点が、非常に大きな魅力と言えます。
3.介護士転職を成功させるためには
転職サイトや転職エージェントを使ったからと言って、介護士転職が常に成功するわけではありません。少しでも成功率を上げるためには、どうすればいいのでしょうか。
転職を検討し始めたらすぐに実践できる、2つのポイントをご紹介します。
3.1 転職の目的、希望条件、希望条件の優先順位などの決定
転職活動をスタートしてすぐ、できれば具体的な活動をスタートする前に、検討しておきたいのが「希望条件の優先順位」についてです。この優先順位がはっきりしていない転職活動は、迷走してしまいがち。
一方で、次のポイントを明らかにして優先順位を決めておけば、悩む場面は少なくなるはずです。
- なぜ転職したいのか?
- どんな条件が自分にとって譲れないのか?
転職が頭をよぎり始めたら、まずは「なぜ転職したいのか?」を明らかにしてみてください。
- 現在の職場の人間関係が嫌だから。
- 給料が低すぎて生活が苦しいから。
- 休日出勤が多く、身体的な負担が大きいので続けられないから。
転職したい理由が明らかになれば、転職先企業に求める条件もはっきりと見えてくるでしょう。せっかく転職活動をするのですから、希望条件はいくつ出してもOKです。
ただし、そのあとで多くの条件の中から「絶対に譲れない条件」をピックアップしておきましょう。
残念ながら、すべてにおいて優れた転職先を見つけ出すのは難しいものです。一方で、「○○の条件は満たしているけれど△△はちょっと…」など、「惜しい」転職先は少なくないはずです。
何をどう選択すれば転職の満足度をアップできるのか、まずは自分自身としっかり向き合ってみてください。
3.2 介護士が履歴書・面接で使える転職理由
介護業界はまだまだ人材不足なので、比較的容易に転職できると言われています。さらに、国家資格を有する「介護士」であれば、非常に多くの転職先を検討できるでしょう。
とはいえ、現実には「待遇が良い」「身体的・精神的な負担が少ない」といった施設に転職希望者が殺到するケースが少なくありません。つまり、本当に環境の良い職場で働くためには、介護士であっても油断は禁物というわけです。転職活動には、しっかりと本腰を入れて取り組みましょう。
介護士転職においても、その他の転職と同様に「前職を辞めた理由」が重要な鍵を握ります。人手不足とはいえ、介護施設側としても「誰でもいい」というわけにはいきません。できれば施設の雰囲気に合う人、長く勤めてくれそうな人を選びたいと思っていて当然だからです。
実際には、「人間関係」や「薄給」など、ネガティブな理由で転職する方の多い介護業界ではありますが、自身の印象が悪くならないよう、伝え方に注意しましょう。
どう伝えればいいのか、理由別に具体例をご紹介します。
3.2.1【人間関係が理由の場合】
チームで仕事をする介護職にとって、現場の人間関係の悪化は非常に深刻なトラブルです。
とはいえ、「人間関係が悪化したから」と正直に申告すれば、「ちょっとトラブルがあると、うちの施設も辞められてしまうのでは…」と相手に不安を与えてしまいます。できるだけポジティブな印象になるよう、伝え方に工夫してみてください。
※例文
以前の職場では、上司主導で仕事をこなしていくのがベストとされていました。私自身は、改善すべきポイントがあれば積極的に意見交換をし、より良いチームワークの中で力を発揮したいと考えております。貴社では年代や地位にかかわらず、積極的な意見交換が常に行われているとうかがいました。私も、そうした環境で質の高い介護サービスを提供したいと思っております。
3.2.2 【残業が多い、体力的・精神的にきついということが理由場合】
残業が多く、休日もしっかり休めないような場合に、転職を考える介護職員は多くいます。嘘をつく必要はありませんが、こちらもできるだけポジティブな言い換えを心掛けましょう。
※例文
以前の職場では、サービス残業や休日出勤が常態化しており、オンとオフのメリハリをつけるのが難しい状況でした。時間的に余裕を持てる勤務体系の中で、利用者さん一人ひとりとしっかり向き合い、サービスの質向上を目指していけたらと思っております。
3.2.3 【キャリアアップが理由の場合】
自身の今後を見据え、キャリアアップのために転職する場合は、自身の思いをストレートに伝えればOKです。「過去の職場でできなかったこと」をネガティブな視線で伝えるのではなく、「これから取り組んでみたい仕事」について、ポジティブな言葉で伝えてみてください。
※例文
私は将来的に、幅広い分野で活躍できる介護士を目指しております。前職はサービス付き高齢者住宅で、利用者様一人ひとりの幅広いニーズに応えてきました。一方で、身体介護業務については、まだまだ経験が足りていないと考えております。貴社に転職することで、さらに幅広いスキルを身につけ、キャリアアップを目指したいです。
3.2.4 【労働条件・環境、待遇が理由の場合】
給与の低さは退職理由になりやすいポイントですが、そのまま伝えることはやめましょう。どれだけ薄給だったかを赤裸々に伝えてしまう方がいますが、面接の場では基本的に、前職の悪口はタブーです。自身の実績を伝えたうえで、「それを評価してもらえる体制を望んでいる」と伝えるのがおすすめです。
※例文
私は前職で、○○として5年間仕事をしてきました。その途中、△△や××といった実績を残し、自分でも手応えを感じていました。ただ前職には、個々のスキルを評価するシステムがなく、自身の努力をモチベーションに転換することは難しい環境にありました。貴社の評価システムを知り、こんな環境で働けたらと思っております。
転職理由を話すときに嘘をつく必要はありませんが、伝え方をほんの少し工夫するだけで、印象は大きく変わります。転職エージェントを利用している場合には、どんな転職理由であればポジティブに響きやすいのかを、アドバイザーと相談することがおすすめですよ。
4.介護士転職サイト・エージェント、ハローワークのメリット・デメリット
介護士転職をサポートしてくれるのは、介護士転職サイトやエージェントだけではありません。公共職業安定所、つまりハローワークでも介護士転職をサポートしてもらえるでしょう。
求職者に対して、公的機関であるハローワークは幅広いサービスを提供しています。介護士転職サイト・エージェントと、どちらを利用するべきか悩む方がいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、介護士転職サイト・エージェントとハローワークの、どちらを利用しても問題はありません。
また、どちらか一方のみに絞るのではなく、両者を併用するケースも目立ちます。介護士転職サイトやエージェントでなかなか成果が出ない場合に、ハローワークを検討してみるのもいいでしょう。
ハローワークで介護士転職を目指す場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。
【ハローワークを利用するメリット】
- 地域密着型の求人情報がチェックできる。
- 一般の転職サイトには公開されていない求人情報を見つけられる可能性がある。
- 誰でも公平に必要な支援を無料で受けられる。
- 職業訓練を受けて介護資格を取得できる可能性がある。
【ハローワークを利用するデメリット】
- 求人数が少ない。
- 職場の雰囲気や離職率など気になる情報が手に入りづらい。
- 求人応募にはハローワークの紹介状が必要なので、わざわざ出向かなくてはいけない。
- 介護業界に詳しいスタッフが対応してくれるとは限らない。
地域の求人に強い一方で、職場内の雰囲気や実際の労働環境などの、気になる情報をチェックしづらいのがハローワークの特徴です。公的機関であるハローワークなら、誰でも公平にサービスを受けることが可能です。
一方で、介護業界に詳しいスタッフがサポートしてくれるとは限らないため、「自分の希望とは微妙に違う求人が紹介される」といったリスクもあります。また、ハローワーク独自の求人応募システムに、「まどろっこしくて面倒」と感じてしまう方も多いようです。
一方で、介護士転職サイト・エージェントのメリット・デメリットは以下のとおりです。
【介護士転職サイト・エージェントのメリット】
- 地元だけに限らず、幅広い企業や施設の求人情報をチェックできる。
- 介護業界専門のスタッフが転職活動をサポートしてくれる。
- 介護職の中でも、さらに細分化されたカテゴリーの中で希望の仕事を探せる。
- いつでも、どこからでも転職活動をスタートできる。
【介護士転職サイト・エージェントのデメリット】
- 自分が希望するエリアに強いとは限らない。
- スタッフの当たりはずれがある。
より幅広い情報をチェックしたいのであれば、介護士転職サイト・エージェントを利用するのがおすすめです。介護業界に特化した支援サービスを受けられる点も、非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
5.介護士転職に役立つ資格
介護士転職を有利に運びたいのであれば、資格に注目するのがおすすめです。介護業界での転職に役立つのは、「介護福祉士」の資格です。介護業界唯一の国家資格で、資格保有者に対して給料アップの優遇措置を取っている施設は少なくありません。
とはいえ、介護福祉士の資格を取得するためには一定の実務経験を積む必要があります。未経験から介護業界への転職を検討しているなら、次の資格の取得を目指してみてください。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
2~3カ月にて取得可能で、転職活動に役立てられます。
すでに介護福祉士の資格を保有している方には、次の資格の取得を目指すのがおすすめです。
- 認定介護福祉士
- ケアマネジャー
どちらも民間資格ではありますが、それぞれ一定のスキルを身につけたことを証明できます。単純に「介護現場で活躍する」だけではなく、「現場のマネジメント」や「各種指導」、「ケアプランの作成」など、幅広い業務を担当できるでしょう。転職先企業にとっても、魅力的な人材として映るはずです。
6.介護士転職を成功させるコツ
介護業界では、転職希望者にとって、まだまだ売り手市場が続いています。介護士転職サイトやエージェントのサポートを受ければ、転職そのものは決して難しくはないでしょう。
とはいえ、ただ転職できたからといって、それが成功とは限りません。転職先の施設や企業が自身の理想とマッチしていたとき、初めて「成功」と言えるのではないでしょうか。
転職前に、現場の雰囲気や実際の労働環境を100%把握するのは難しいでしょう。
ただし、以下の3つのコツを意識するだけで、成功率はぐんと高まります。転職活動中に、ぜひ意識してみてください。
6.1 転職前に職場見学はできるか
転職活動中に、職場見学は必須です。介護業界の場合、求人応募前に職場見学を受け入れている施設が多くあります。ぜひ参加してみてください。
職場見学では、実際の施設の雰囲気や、働いている人の様子を確認できます。求められる役割や介護の質、スタッフの勤務状況を自分の目でチェックできるため、転職後のミスマッチが発生しづらくなるでしょう。
時間の都合上「職場見学に行く暇がない…」という場合も、最低限「転職前の職場見学を受け入れている施設かどうか」という点だけは確認してみてください。見学を受け入れている施設は、ある程度、施設の運営状況やスタッフの労働環境に自信を持っているはずです。見学を受け入れていない施設の場合、風通しが悪い環境であるリスクが高いでしょう。
転職前の職場見学は、介護施設側が積極的に発信しているケースもあれば、問い合わせて初めて応じてもらえるケースもあります。転職エージェントを利用する場合は、担当者に相談してみてください。
6.2 職場の人手は足りているか
介護施設で長く快適に働き続けるためには、人的余裕が必須です。施設の規模に対して十分な人材を確保できているかどうか、しっかりと確認しておきましょう。
人手が足りていない施設の場合、転職後の激務が予想されます。また、職場環境の中に「なかなか人が定着しない理由」が隠されているのかもしれません。リスクの高い職場を避けるためにも、ぜひチェックしてみてください。
6.3 人材教育の体制は整っているか
介護施設の中には、人手が足りないために新人への人材教育にまで手が回っていないところが少なくありません。現場スタッフにとっては仕方がないことなのでしょう。
とはいえ、その施設での仕事内容がわからない新人にとっては、ストレスが大きくなってしまいます。
よくわからないまま仕事をこなし、ミスが発生したら責任を押し付けられてしまう可能性もあります。教育体制がしっかりと整った施設かどうかを確認しましょう。
また人材教育体制が整っている施設や企業には、転職希望者にとって魅力的な次の条件を備えているケースが目立ちます。
・経営に余裕がある。
・介護職員を大切に扱っている。
・職員同士のコミュニケーションが活発で風通しが良い。
転職活動後、気持ち良く働き続けるために、ぜひ確認してみてください。
7.介護士転職で年収を上げる方法について
収入面での不満が転職理由に結び付いている場合、「転職活動でいかに年収を上げられるか」が転職成功の鍵となるでしょう。
以下の3つの点を意識して、転職活動を実践してみてください。
7.1 できるだけ給与の高い介護施設を探す
介護士転職で年収を上げるための、いたってシンプルな方法です。今勤めている施設よりも、高い給与を支払ってくれる介護施設に転職しましょう。
「介護業界=低収入」といった認識が広まっていますが、各種支援の充実により、他業種との間の収入格差は縮小の傾向にあります。もちろん給与の安い介護施設もありますが、「十分な給与を支払って、質の高い人材を集めよう」とする施設も決して少なくありません。
具体的には、「介護職員処遇改善加算」を受けている施設を選ぶのがおすすめです。「介護職員処遇改善加算」とは、介護職員の給与改善のために実行される国の施策です。手当を受けている分、介護職員に支払う給与も高くなっている可能性があります。
また、基本給以外の待遇や手当に注目してみるのもおすすめです。住宅手当や家族手当、資格手当や役職手当などが手厚く支給されていれば、月々の家計は潤うでしょう。
7.2 夜勤がある施設形態に的を絞る
手っ取り早く給与アップを目指したいのであれば、施設形態に注目してみてください。介護施設の中には夜勤が必要になる施設は多く、こうした施設に転職すれば、夜勤手当で毎月の給与がアップするでしょう。
夜勤が発生するところとしては、次の施設が挙げられます。
- 介護老人福祉施設(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
ひと月にどの程度の夜勤があり、それによってどの程度の収入が得られるのかを、しっかりと事前に確認しておきましょう。
ただし、介護の仕事で夜勤をこなすためには体力が必要です。本当に勤め続けられるかどうかを、よく考えたうえで応募しましょう。
7.3 資格を取得し、それを活かした転職を目指す
介護職は、資格を取得することで年収アップを目指せる職種です。介護の仕事に活かせる資格を取得し、その資格を活かした転職をすることで、収入アップを目指しましょう。
現在無資格で働いているなら、「介護職員初任者研修」の取得がおすすめ。一定の実務経験があるなら、ぜひ国家資格である「介護福祉士」の取得を検討してみてください。
また、この場合なら、わざわざ転職しなくても、現在の職場で年収がアップする可能性があります。勤務先企業の規定を確認したうえで、本当に収入アップのための転職をするべきかどうかを、検討しましょう。
8.介護施設の種類と特徴について
介護業界で転職するなら、ぜひ頭に入れておきたいのが、各種介護施設の種類と特徴です。どのような施設で働くのかによって、仕事の内容や勤務形態は大きく変わってきます。転職先として検討したい7つのタイプの介護施設について、それぞれの特徴と働く魅力をお伝えします。
8.1 有料老人ホームで働く魅力・特徴
有料老人ホームとは、高齢者の生活や健康をサポートしてくれる、有料の入居型施設です。介護から食事の世話など、幅広いサービスを提供してくれる「介護付き有料老人ホーム」のほか、生活支援や食事提供が受けられる「住宅型有料老人ホーム」、必要に応じて家事サポートや食事サービスなども受けられる「健康型有料老人ホーム」など、さまざまな種類があり、幅広いニーズに対応しています。
「食事」「介護」「家事」「健康管理」のいずれかの介護サービスを提供することが、有料老人ホームを名乗るための条件です。
福利厚生が充実していて、待遇が良い施設の多いのが特徴。身体介助や食事介助、入浴介助にレクリエーション活動など、幅広い業務経験を積めるでしょう。
8.2 サービス付き高齢者向け住宅で働く魅力・特徴
「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅は、介護の必要ない高齢者が安心して生活できるよう、さまざまな環境を整えている住宅施設です。有料老人ホームとは違い、介護サービスの提供は義務付けられていません。
介護スタッフの仕事は、主に「状況把握(安否確認)」と「生活相談」です。ただし、施設によっては介護サービスを別途提供しているケースが多いため、業務内容を事前にしっかりと確認しましょう。
8.3 特別養護老人ホームで働く魅力・特徴
特別養護老人ホームは、介護が必要な高齢者のための公的施設です。この施設に入居できるのは、65歳以上で要介護度3以上の方のみ。介護職員は、主に身体介助を担当します。
要介護度の高い利用者さんが多い傾向にあるため、介護のための身体的負担は大きくなりがちです。ただし、介護士としての経験を積み、スキルアップを目指すのであれば、非常に魅力的な職場と言えるでしょう。
8.4 老人保健施設で働く魅力・特徴
介護老人保健施設は、要介護1以上の人が入所する公的施設です。病院から退院したあとの方の、家で生活するために必要な身体機能および生活動作能力の改善を目指しており、リハビリにも力を入れています。
介護職員は、主に利用者さんの介護業務に当たります。起床・食事・移動・入浴などの場面で、個々の状況に合わせた介護サービスを提供します。その他の施設とは違い、「在宅復帰という目標に向けた取り組みを支援できる」という特徴があります。仕事に対するモチベーションを抱きやすいでしょう。
8.5 デイサービスで働く魅力・特徴
デイサービスは、自宅で暮らしている高齢者の方が、日帰りで通って介護サービスの提供を受ける施設です。食事の提供や入浴介助、各種レクリエーションといったサービスが提供されています。
デイサービスを利用する方の要介護状態は幅広く、個々の状況に寄り添った、臨機応変な介護が求められます。大変なことも多いですが、その分やりがいも感じられるでしょう。また、夜勤がない分、プライベートと仕事を両立しやすい職場と言えます。
8.6 ケアマネジャーとして働く魅力・特徴
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、それぞれの利用者さんが抱える課題を分析したり、その結果に基づいてケアプランを作成したりする専門職です。介護保険サービスをマネジメントしたりコーディネートしたりする立場であり、その責任は重大です。
とはいえ、介護保険法で必置とされているケースの多い職種です。求人数も多く、また給与も高めに設定されており、転職先を探しやすい点がメリットと言えるでしょう。
また、介護職の中では、身体的負担が少ない職種である点も魅力の一つ。年齢を重ねても、長く続けられる仕事です。
8.7 病院の介護士(看護助手)として働く魅力・特徴
介護士は病院でも活躍しています。通常の介護施設で働くのとは異なり、入院患者さんの生活支援や看護師のサポートが主な業務です。
病院スタッフの一員となるため、福利厚生が充実しているケースが多いです。また、幅広い年代の介護やサポートを経験できるというメリットがあります。幅広い業務を経験したい方に、特におすすめです。
まとめ
介護業界での転職を検討し始めたら、まずは転職サイトで求人をチェック!
介護業界に特化した介護士転職サイトやエージェントは、忙しい毎日の中で効率良く求人情報をチェックするための手助けをしてくれるでしょう。必要な情報を登録すれば、誰でも自由に求人情報をチェックできます。
・本当に転職するかどうかわからない。
・いい転職先が見つかったら、積極的に検討したい。
このような段階からでも気軽に利用できるでしょう。介護士転職エージェントを活用すれば、より充実した転職支援を受けられます。履歴書や職務経歴書の作成、面接対策に自信がない方は、ぜひ積極的に利用を検討してみてください。
介護の仕事は、働く施設によって、その内容や待遇が大きく違ってくるものです。今の状況に満足できないときには、転職を検討するのも良いでしょう。転職に成功できれば、自分の理想により近い職場で、ストレスなく働けるのではないでしょうか。
自分の希望に合った介護士転職サイトや介護士転職エージェントを使って、介護士転職を成功させましょう。