介護職で職員同士の人間関係を円滑にするために-周りの職員とコミュニケーションを上手くとるコツとは?

転職や人事異動で新しい職場で働き始めた場合、職員の和の中に上手く溶け込んでいくことが大切になってきます。そのためには、周りの職員と上手くコミュニケーションをとっていくことが重要になってきます。しかし、職員同士でコミュニケーションをとる場合、どのようにすればいいのか悩む方も少なくないと思います。

この記事では、他の職員と上手くコミュニケーションをとるためのポイントや役に立つコミュニケーションスキルについて解説していきます。

1.職員同士のコミュニケーションの重要性

介護の現場では多くの人々と接する機会があります。利用者・入居者と信頼関係を築くだけでなく、職場の職員とも信頼関係を築くことが重要になってきます。そのためには、周りの職員とも上手くコミュニケーションをとっていく必要があります。

特に就職・転職や人事異動で新しい職場で勤務し始めた場合、その職場の職員の和の中にスムーズに溶け込めるかどうかが重要になります。新しい職場では業務において分からないことやあやふやなことが出てきます。新しい職場の中で浮いてしまうと分からないことやあやふやなことを聞きにくくなり、さまざまな業務に支障が出てきます。

また、職場の中で2〜3人ぐらい気軽に話をすることができる友人が出来ると精神的にもだいぶ楽になります。仕事のことについて1人で悩むより、誰かに相談した方が状況も良くなります。

2.職員のコミュニケーションが良好な職場と不良な職場の特徴

就職・転職を考える場合、コミュニケーションが良好な職場を選びたいものです。就職・転職前に調べるのは難しい部分もありますが、転職エージェントを使用した場合は確認してみると良いかもしれません。また、現在勤めている職場がコミュニケーション不良な職場で、自分の力ではどうにもならない場合は転職してみるのも1つの方法です。

2.1 不良な職場

職員同士のコミュニケーション不良な場合では、職場のチームワークが悪くなります。「報告・連絡・相談」が出来ていなかったり、他の介護士や他職種の職員と上手く連携を取ることが出来ておらず、様々なトラブルや揉め事が起きやすくなってしまいます。その他、分からないことがあっても聞きづらい雰囲気になっています。

また、不適切なコミュニケーションや職員の関係が出来てしまうと職場内に派閥が出来てしまい、陰口やうわさ話が盛んになります。どこかの派閥に所属しなければ職場に居づらくなります。その他、暗黙の了解が出来てしまい、それがトラブルや事故の原因にも繋がることがあります。気の合う職員同士で集まることも度が過ぎると悪影響を及ぼす場合があります。

2.2 良好な職場

職場のコミュニケーションが良好な職場では、「報告・連絡・相談」がしっかり出来ており、他の介護士や他職種の職員の連携もしっかりできています。その結果、トラブルや揉め事も起こりにくくなり、業務もスムーズに行きやすくなります。

また、職場の問題点や改善策なども職員同士で共有しやすくなり、業務の改善や労働環境の改善につながりやすくなります。

3.コミュニケーションをとる際のポイント

相手とコミュニケーションをとる時、注意すべき点や上手くとるためのポイントがいくつかあります。以下に解説します。

3.1 言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションを意識する

コミュニケーションには「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」があります。他の職員とコミュニケーションをとる場合、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」を意識する必要があります。

言語的コミュニケーションは意見や感情、考え、思いなどを言葉や文字などを使って意思疎通をする方法であり、他職員に自分の意見や考えを伝える場合は、簡潔に誤解無く伝える必要があります。

非言語的コミュニケーションは言語や言葉以外の方法で意思疎通を行う方法で、他の職員とコミュニケーションをとる場合はこちらも充分に気を付ける必要があります。メラビアンの法則によると相手に与える印象は表情や声のトーンなどの非言語的な要素で約9割決まってしまうといわれています。特に介護業界で働く人は利用者・入居者の表情などで相手の心情を察することが多いため、他職員と会話している時も相手に自分の心情を見透かされてしまう可能性があります。

3.2 自分の意見を押し付けない、否定しない、相手に共感する

すぐに否定する人や自分の考えを他人に押し付ける人は嫌われる傾向にあります。人それぞれ考え方や価値観は違うことを認識しておく必要があります。

また、相手の考えや気持ちを理解するのは難しい部分もありますが、想像力を働かせ、相手の立場に立って話を受け入れて共感することも大切です。共感することでより相手の気持ちに近づけるので、より上手くコミュニケーションをするきっかけにもなります。

3.3 相手に関心を持ち、話をよく聞く

コミュニケーションの基本は「聞くこと」といわれています。自分の意見や気持ちを伝えることも大切ですが、相手の言うことに耳を傾け、話をよく聞くことも重要です。相手は気持ちを理解してもらえた安心感などで、その後のコミュニケーションも活発になりやすくなります。

また、考えや意見の相違があった場合でも「そういう考えもあるのだなあ」というぐらいの気持ちで、相手を認めることも重要です。そうすれば感情的になりにくくなります。

3.4 おしゃべりをするときにおすすめの話題とNGな話題

他の職員とおしゃべりをするときにおすすめの話題とNGな話題があります。

おすすめな話題としては、好きな映画やドラマ、歌手、趣味、アニメ、ゲームなどは相手の価値観を知るきっかけにもなります。また、純粋な気持ちで楽しむことが出来、同じドラマや歌手にハマっている場合は相手との距離を縮めるきっかけにもなります。その他、嫌みが無い程度に自分の将来の夢やこの仕事をするようになったきっかけ、学生時代のことやこれまでの経歴などについても話題にしてみると良いでしょう。

NGな話題としては自慢話や悪口、うわさ話などがあります。これらの話は聞き手を疲れさせたり、不信感などを与えるなどして嫌われる可能性があります。

3.5 相手との心の距離を縮めるコツ

相手との心の距離を縮めるコツとして、会話の中で相手との共通点を見つけるという方法があります。好きなドラマやアニメ、趣味が一緒であったり、出身校が同じであった場合は緊張感がほぐれ、安心感や信頼感を持つようになり、お互いが話しやすくなる可能性があります。

3.6 相手の立場に立って考える

介護の現場では、他職種の職員と連携して働くことがあります。そのため、考えや意見に相違が出てくることは当然あります。そうした場合は感情的にならず、想像力を働かせ、相手の立場に立って考えてみることが重要になります。そうすることにより今まで気付かなかったことに気付けるようになる可能性があります。

また、相手の気持ちを察することが出来ればその後のコミュニケーションも上手く行えるようになる可能性もあります。

4.苦手な人とコミュニケーションをとるには

どんな職場でも苦手な人はだいたいいます。苦手な人がいない職場を見つけるのは困難かもしれません。

苦手な人とコミュニケーションをとる場合、「自分と他人は違う」ということを頭の中に入れておくことが重要です。自分の力で他人を変えることは困難であるため、自分自身を改善するように考えてみるのをおすすめします。

また、苦手な人とは業務上必要最低限に付き合っていくようにするのも1つの方法です。どうしても苦手な人のために働くのがつらい場合は最終手段として転職という方法があります。

5.他職員からコミュニケーションを避けられてしまう言動

他の職員と積極的にコミュニケーションをとっていこうと思っても、残念ながら相手からコミュニケーションを避けられてしまう言動というものがあります。以下に解説します。

5.1 気分によって態度、言っていることが違う

気分によって態度が違う人、言っていることが違う気分屋の人は、「わがままで無責任な人間」といった印象を与え、信用を無くします。

また、気分屋の人が職場に居る場合は、

  • 業務上必要最低限のお付き合いをする
  • 相手が不機嫌になる言動を把握して、相手が不機嫌になる言動を避ける

などの対策を立てると良いでしょう。

5.2 悲観的な話ばかりする

悲観的な話というのは、周りの人間に対して仕事などに対するモチベーションを低下させ、雰囲気を悪くさせてしまいがちです。周囲の人に対して「暗い」、「一緒に居て居心地が悪い」といった悪い印象を与え、周りの人から距離を置かれてしまいます。

また、悪口や愚痴なども聞いている人からしてみるとあまり気分の良いものではありません。周囲の信用を無くす原因にもなります。

5.3 不愛想

話し掛けた時に頻繁に険しい表情をしたり、愛想のない返事をされると「この人は話しかけてほしくないのかな?」と感じてしまう可能性があります。また、頻繁に荷物や書類などを叩きつけるように置いていると「あの人はいつもイライラしている」、「私たちに何か不満でもあるのか」との印象を与え、周囲の人から孤立しがちになります。

イライラしているわけではないが、癖でそのようにしている場合は充分気を付けましょう。また、イライラしている場合でも、周りの人に対して出来る限り不愛想な態度はとらない方が良いでしょう。「怒りの管理方法」である「アンガーマネジメント」 については別記事で解説予定です。

6.役に立つコミュニケーションスキル

他の職員と意思疎通を行うときに役立つコミュニケーションスキルについて4つの技法を解説します。良かったら役立ててください。

6.1 閉ざされた質問と開かれた質問

閉ざされた質問は「はい」「いいえ」などの返事や短い返事で終わったりする質問です。開かれた質問は質問された相手が「はい」「いいえ」だけでは終わらない自由度のある質問です。

例えば、他の職員と会話をするとき、「ドラマはよく見ますか」「ゲームはしますか」といった質問を最初にして、「ゲームが好き」と分かったら、ゲームで話題を広げていき、開かれた質問をするなどして、お互いにより理解を深めていくと良いかもしれません。

6.2 繰り返し技法

繰り返し技法とは、他の人と会話をしているときに、相手の発言を繰り返しながら会話をする技法のことを言います。繰り返し技法を使うことにより、「話をしっかりと聞いている」「話したいこと、理解してほしいことが伝わっている」といったように感じやすくなります。相手の気持ちに寄り添いながら、重要な言葉を見極めてその言葉を繰り返すようにすると効果的です。

ただし、ただ単に言葉を返し続けると、真剣に聞いていないと思われてしまったり、不快感を与えてしまったりすることがあるので注意が必要です。

6.3 ミラーリング

ミラーリングとは相手の動きを鏡で映したときと同じような動きをしたり、同じ姿勢をとることをいいます。人間関係を構築する際によく使われています。同じような姿勢や表情、動きをとることにより相手に親近感や安心感、共感を得ることが出来ます。

ただし、わざとらしく真似するのは逆効果になるので注意が必要です。相手の動きを観察し、気を付けながらさりげなく、自然に行うようにするよう気を付けてみてください。

6.4マッチング

マッチングとは相手の声のトーンやテンポ、大きさ、リズムなどの目に見えない部分を合わせることをいいます。相手のペースに合わせることでコミュニケーションがスムーズになります。

まとめ

介護職は人間関係のことで悩む人も少なくありません。長く勤めようと思えば職場の職員と良好な人間関係を築いていくことが大切であり、周りの職員と上手くコミュニケーションをとることが重要になってきます。

この記事では、コミュニケーションをとる際のポイントや役に立つコミュニケーションスキルなどについて解説してきました。良かったら参考にしてみてください。この記事に書いてあることを上手く活用して、良好な人間関係を築いていただければ幸いです。

参考サイト