介護職からの他業種転職は可能?メリット・デメリットと年代別転職アドバイス

介護士の仕事がきつい…と感じた際に、頭をよぎるのが「他業種への転職」です。「別の仕事なら、もっと楽になるのでは?」と思いつつ、転職への不安から、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、介護士が他業種に転職する際に、知っておきたいポイントをまとめます。そもそも他業種への転職が可能なのか、どういった点に注意すれば良いのか、ぜひ確認してみてください。

1.介護士が他業種へ転職することはできるのか

現代日本において、介護の仕事は欠かせないもの。そのニーズが上昇する一方で、担い手不足はより深刻な問題となってきています。

  • 仕事量が多く責任が重い割に給料が低い
  • 業界全体で人手不足のため、休みが取りにくくワークライフバランスが乱れやすい
  • 仕事に対する余裕が持てず、職場の人間関係がギスギスしている
  • 残業や夜勤で生活リズムが狂うのが嫌だ
  • 休日出勤やシフト制勤務のため、家族や友人とすれ違い生活になる
  • 先の見通しが立たず、将来が不安
  • ストレスが原因で精神に不調をきたしてしまった

このような理由から、介護職に見切りをつける方も。過去の経験を活かせる業界内転職ではなく、他業種を対象とした転職活動をスタートするケースも、決して少なくありません。

これまでに介護の仕事しかしたことがない方にとって、気になるのは「本当にその他の職種で雇ってもらえるのか?」という点です。

いくら介護の仕事がきつくても、転職先が見つからなければ、そう簡単に辞められません。介護の仕事は専門職の一つですから、その他の業種でどんな能力を発揮すれば良いのか、悩む方も多いことと思います。

結論からお伝えすると、介護職から他業種への転職は可能です。

介護士以外にも、福祉に関わる仕事は多くあります。介護士としてのこれまでの経験が、無駄になる恐れはありません。確かな実績として、評価してもらえるでしょう。

また、介護士として活躍する上で必須のコミュニケーション能力は、その他多くの業種で求められる力でもあります。自分自身の強みを意識して転職活動を進めていけば、きっと理想の転職先を見つけられるでしょう。

2.介護士が他業種への転職を成功させるためのポイント

介護士から他業種への転職は、決して難しくはありません。しかし「より良い条件で転職を成功させたい」と思うのであれば、いくつかのポイントを押さえて行動しましょう。

4つのポイントを具体的にお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

2.1 他業種へ転職で介護士が活かせる強み

介護士から他業種へと転職するのであれば、転職活動では、自身の強みを最大限にアピールすることをおすすめします。介護士にかかわらず、転職活動において「自分の強みを理解できているか?」は、非常に重要なポイントです。理解できないまま転職活動を進めていっても、魅力的なPRはできません。

反対に、強みさえ理解できていれば、多少の弱点があったとしても大丈夫です。「強み」に的を絞った転職活動が可能になるでしょう。

介護士がアピールしやすい強みの一つは「コミュニケーション能力」です。介護の仕事は、スタッフ同士が連携してあたるもの。

また、利用者さんやその家族とのコミュニケーションも必須です。相手が何を望み、どういった対応をするべきなのか、自然と察知できる能力を身につけている人も少なくありません。「資格」や「免許」のように目に見えるものではありませんが、仕事をする上で非常に重要な能力だと言えます。

コミュニケーション能力が求められる分野は非常に幅が広いため、自分の希望に沿ったPRが可能です。みんなで一つの物を作り上げる仕事には、チームワークが必須です。介護士としてチームで働いてきた経験をアピールし、コミュニケーション力に問題がないことを示しましょう。

また、人を相手にする仕事では、相手の気持ちを察する能力が求められます。介護の仕事の中で、患者さんやご家族の思いを察知して成功できた事例があれば、より説得力のある自己PRにつながるはずです。

また「観察力」や「体力」、「臨機応変な対応力」も介護士の強みです。介護が必要な方の中には、自身の状態をうまく表現できる人ばかりではありません。普段から、相手の様子を注意深く観察し、気を配る力が身についている人も多くいるはずです。介護の仕事には体力も欠かせませんし、何かトラブルが発生したときには臨機応変な対応を求められます。こうした点も、ぜひ積極的にアピールしてみてください。

介護の仕事は確かにきつく、また責任も重いもの。とはいえ、これまでそうした仕事を当たり前にこなしてきたからこそ、介護士の強みは決して少なくありません。まずは、そうした強みを自分自身で自覚し、整理してみてください。

2.2 介護士の経験や強みが活かせる業種、転職先

異業種への転職は、介護士に限らず、本人への負担が大きいものです。まったく経験がない業界で自分の魅力を伝えなければいけませんし、たとえ転職先が決まっても、新しい物事を次々覚えなくてはいけません。せっかく転職しても、慣れない業務内容に疲弊し、「やっぱり続けられない…」と思い悩む方もいます。

こうしたリスクを減らすため、おすすめなのが「介護士としての知識や経験を活かせる業種に、的を絞って転職活動する」という方法です。ぜひ介護と同じ福祉関係の業種・就職先に目を向けてみてください。

中でも人気なのは、看護師や保育士です。介護の仕事と同じように、どちらも人と関わる仕事です。それぞれの資格さえ取得できれば、転職先探しで苦労する恐れもないでしょう。今の仕事で抱えている不満を解決できるような、より魅力的な条件を提示してくれる職場を探せるはずです。

その他の一般職や事務職を希望する場合でも、介護や福祉とつながりのある企業を選ぶのがおすすめ。仕事内容や取り扱い商品に馴染みがあるだけでも、気持ちは楽になるはずです。転職先での第一歩も、自信を持って踏み出せるのではないでしょうか?

2.3 業種別の転職難易度を理解する

転職活動を行う場合に、意識しておきたいのが業種別の転職難易度です。人気のある業種には、希望者が殺到しがち。他業種から未経験で転職するのは、決して簡単ではないでしょう。転職希望者が多いため、即戦力として使える経験者が優遇され、求人枠が埋まってしまいます。

人手不足が深刻な介護職の場合、転職難易度は非常に低いと言えるでしょう。介護士の中には、「過去に何度か業界内で転職をしているけれど、勤め先探しで苦労した経験はない」という人も多いはずです。しかし介護士から他業種への転職を考えるのであれば、こうした「常識」は取っ払って考えなければいけません。

介護の仕事と同じく、人手不足が問題になりやすい「飲食業」や「営業職」は、転職難易度が低い業界だと言えます。これらの仕事を探すのであれば、転職活動での苦労はそれほど多くはないでしょう。

一方で、「金融業」や「コンサルティング業」など、就活生にも人気の業界で転職先を探すのは、決して簡単ではありません。本気で転職を望むのであれば、しっかりとした戦略を練って、本気で転職活動に取り組む必要があるでしょう。

体力面に不安を感じ、転職を希望する介護士の中には、「事務職」を希望する方も多いのではないでしょうか?特に女性の場合、事務職は人気業種の一つで、難易度は高め。自分自身に何ができるのか、強みを意識して転職活動を進めていくことをおすすめします。

2.4 先回りして対策を行う

未経験業界への転職を少しでも有利にしたいなら、先回りして対策するのがおすすめです。希望する業界や業種を決めたら、今後必要になりそうな勉強をスタートしましょう。関連する資格を取得できれば、転職活動中はもちろん、転職後の業務中にも活用できます。

未経験者を受け入れる企業にとって、「求人に応募してきた人がどのくらいの知識・能力を有しているのか」は、注目すべきポイントです。

たとえ経験がなくても、

  • 具体的な勉強をスタートしている
  • すでに資格を取得している

という事実がわかれば、そのやる気や本気度を認めてもらえるでしょう。

介護士として仕事をしつつ、他業界の勉強をするのは難しいかもしれません。隙間時間も活用しながら少しずつ勉強を進め、転職のタイミングを計ってみてください。

3.介護士が他業種へ転職するメリットとデメリット

介護職から他業種への転職には、メリットとデメリットの両方があります。仕事が嫌で「一刻も早く転職を…」という場合、転職のメリットばかりに注目し、デメリットを無視してしまうようなケースも少なくありません。転職活動を成功させるためには、ぜひメリットとデメリットの両方を知っておいてください。

3.1 メリット

メリットについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

3.1 メリット①「お給料アップが狙える」

介護職から他業種への転職を検討する際に、きっかけになりやすいのが「給料」です。業務量や担うべき責任に対して、介護士の給料は決して高くはありません。「だったらいっそ別の業種で、給料アップを目指したい!」と思う方も多いのではないでしょうか。

希望する業種や応募企業について、しっかりと情報収集しておけば、転職によって給料アップが狙える可能性も。生活に余裕も生まれるでしょう。

3.2 メリット②「週末に休みを取りやすくなる」

介護職では、土日祝日に関係なく、シフト制で勤務する職場も少なくありません。他業種へ転職すれば、「平日に仕事をして休日は休む」という生活を手に入れやすくなるでしょう。

ただし、曜日にかかわらずシフト制で仕事を回すのは、介護職だけではありません。飲食業やサービス業など、転職難易度が低い業種においては、介護と同じく土日祝日にかかわらず勤務を求められる可能性も高いでしょう。より確実にメリットを実感するためには、転職希望先について、しっかりと検討することが大切です。

3.3 メリット③「各種負担から解放される」

介護士として仕事をする以上、さまざまな負担が発生します。身体介護では、体力面での負担が大きくなるでしょう。少ないスタッフで現場を回そうとすれば、一人一人が担う責任は重くなります。介護士の仕事は、ときに利用者さんの命にかかわることもあるのです。

他業種へ転職すれば、これらの負担から解放されます。基本的に座ってできる仕事を選べば、体力面での負担は軽減できるでしょう。仕事そのものは忙しくても、チーム全体で一つの課題を担うのであれば、個々の負担は少なくなります。

人手不足の現場が多い中、「残業や休日出勤が当たり前」という介護施設も多く見られます。他業種転職をすれば、こうした状況から抜け出し、負担を軽減できる可能性もあるでしょう。

3.4 メリット④「生活リズムを整えやすくなる」

介護士としての仕事は、昼夜を問わず必要なもの。このためスタッフは、日勤・準夜勤・夜勤など、ローテーションでシフトを決定しています。24時間対応が必要な施設において、夜勤を避けるのは難しいでしょう。

日勤よりも多く稼げる夜勤ですが、普段とは異なる生活時間に、戸惑う人が多いのも事実です。夜勤の仕事そのものは大丈夫でも、夜勤後の生活リズムに苦労しがち。結果として、「休日ぐらいは思う存分好きなことをしたいけれど、生活リズムが崩れてできない」というお悩みも少なくありません。

夜勤がない業種に転職すれば、こうした悩みは解消できます。「夜眠って朝起きる」という当たり前の生活ができるようになれば、健康にも良いでしょう。プライベートも充実させやすくなります。

3.2 デメリット

介護士からの他業種転職にはデメリットもあります。次からはデメリットについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

3.2.1 デメリット①「新しい仕事を一から覚えなくてはならない」

介護士から他業種へと転職した場合、これまでの知識や経験を活かすことはできません。これまでに経験がない仕事を、一から覚えなおさなくてはならないでしょう。

慣れない職場で新しい仕事を覚えるのは、ストレスが伴う作業です。特に最初は、うまくいくことの方が少ないでしょう。

介護士から他業種への転職を希望している方の中には、「さまざまな事情から転職を希望しているが、介護士としての仕事内容そのものはきらいではない」という方も多いもの。この場合、新たな仕事を覚えなくてはならない状況に、強いストレスを感じてしまいがちです。

3.2.2 デメリット②「前職での問題が解決されるとは限らない」

介護士から他業種への転職を希望する理由は、人それぞれです。給与について不満を抱いている方もいれば、人間関係でストレスを抱えている方もいるでしょう。転職したからといって、これらの問題がすべてスッキリ解決できるとは限らないのです。

給与の不満も人間関係のストレスも、介護職だけの問題ではありません。「介護の仕事さえ辞めれば大丈夫!」と思って転職活動を進めてしまうと、「仕事を変えても結局同じ…」といった事態になりかねないでしょう。

介護の仕事内容に問題がある場合を除いて、職場の悩みを転職で解決できるかどうかは、「転職先企業の体質」で決まります。デメリットを最小限にするためには、転職を希望する企業について、できる限りの情報収集を行っておくのがおすすめです。

3.2.3 デメリット③「仕事に対するやりがいが薄れがち」

介護士の仕事は、利用者さんやご家族との距離が非常に近いもの。そのせいで嫌な思いをして、それが転職のきっかけになる可能性もあるでしょう。

しかし、相手との距離が近い分、やりがいを感じやすいのも介護職の特徴です。自分の努力の結果、利用者さんとの距離が縮まったり、御礼の言葉を伝えられたりしたときには、「この仕事をやっていてよかった」と感じる機会も多いでしょう。

介護以外の仕事を選べば、他者との距離が遠くなり、余計なストレスを抱え込まずに済むかもしれません。しかしその一方で、仕事に対してやりがいを感じられず、モチベーションが低下してしまう恐れもあります。他業種への転職を検討する際には、「介護士ほどのやりがいが感じられない可能性」についても考慮してみてください。

3.2.4 デメリット④「ブランクができる」

「重労働で低賃金」など、ネガティブなイメージも強い介護士の仕事。しかし実際には、現場で実績を積み重ね、上位資格を取得することで、キャリアアップを目指しやすい業種でもあります。他業種転職をしたあと、「やっぱり介護の仕事に戻りたい」と思ったときに、ブランクが生じてしまうでしょう。

人手不足の介護業界ですから、いわゆる「出戻り」は難しくありません。しかし、以前は自分と同じような立場で働いていた人が順調にキャリアアップしていたら…なんとも言えない気持ちになる方も多いのではないでしょうか。

もちろん、介護士として仕事を続けていく上で、別の仕事に就いた経験が無駄になるわけではありません。利用者さんとの向き合い方やコミュニケーション方法について、他業種を経験したからこそ、わかる点も多いでしょう。一方で、ブランクが原因で給与アップや出世に影響が出る可能性があるという事実も、しっかりと頭に入れておいてください。

以上のようなメリット・デメリットを踏まえて、ぜひ他業種への転職を検討してみてください。デメリットからも目を逸らさないことで、転職の失敗を防ぎやすくなるでしょう。

4.他業種への転職で年齢は重視されるのか

介護職から他業種へと転職する際に、重要なポイントとなるのが「年齢」についてです。介護職から介護職への転職の場合、年齢よりも、これまでの経験やスキル、保有資格などが重視されます。年齢を重ねたあとのキャリアアップ転職も難しくないでしょう。

一方で他業種へと転職する場合、これまでの仕事とはまったく異なる知識や技術を、一から習得していかなくてはいけません。転職するタイミングが遅すぎると、「これから育成しても間に合わない」と判断されてしまいます。

介護士から他業種への転職を希望するなら、20代のうちに決断するのがおすすめです。
30代に入ると、状況は非常に厳しくなっていきます。

年代別のポイントも踏まえて、他業種への転職を成功させましょう。

4.1 20代介護士が他業種転職を成功させるためには

20代の介護士にとって、他業種転職を成功させるのは、それほど難しくはありません。特に20代前半は、まだまだ若い時期。いったん介護士として就職していたとしても、そのやり方に染まっているわけではありません。別の業界に転職した場合でも、柔軟な対応力を見せ、成長してくれるでしょう。

介護業界は常に人材不足というイメージがありますが、他業種においても、やる気に満ちた若い人材は貴重。早い段階から自社のやり方を身につけさせて、会社の中心を担う人材として、育成できる可能性もあるのです。

20代の他業種転職は、ぜひこうした状況も踏まえて、活動してみてください。若い世代の転職希望者にとって、武器になるのは「若さ」と「熱意」、そして「長く勤めたい」という意欲です。もちろん面接では、「過去の経験」が聞かれる場面もあるでしょう。面接官が知りたいのは、「介護士の経験を活かして何ができるのか?」よりも、「その人自身がどういった考えを持っているのか?」という点です。

元介護士であるかどうかにかかわらず、企業が20代の転職希望者に対して聞きたいポイントは、以下のとおりです。

  • 過去のやり方にとらわれず、自社のやり方を積極的に受け入れようとしてくれるか?
  • すぐに辞めることなく、長期間働いてくれそうか?
  • 周囲の仲間とうまくやってくれそうか?
  • 自社の雰囲気に馴染めそうか?

「20代でまだ経験がないから…」と、面接で弱気になる必要はありません。企業が知りたいポイントを踏まえて、自信を持って転職活動に臨んでください。

4.2 30代介護士が他業種転職を成功させるためには

続いて、30代介護士が他業種転職を成功させるためのポイントについてお伝えします。

介護士からの他業種転職を考えるなら、20代がベスト。とはいえ、以下のような理由から、30代になって「もう介護士を続けられない…」と悩む方もいます。

  • 20代の頃からずっと我慢してきたものの、もう限界と感じた
  • 肉体的な負担が大きく、体を壊してしまった
  • 結婚や妊娠・出産、介護などを理由に、激務である介護士の仕事を続けるのが難しくなった
  • 20代後半で介護業界へと転職したものの、やっぱり合わなかった
  • 最後の転職機会をあきらめたくない

この場合、「30代」という年代を意識した転職活動を行うことが重要です。

30代の他業種転職は、20代と比較して難しいのは事実。しかしポイントを押さえて活動すれば、決して不可能ではありません。まずは「20代とは違う」という点を、しっかりと頭に入れておきましょう。

30代での他業種転職の場合、まったく知らない未経験の分野を狙うのはおすすめできません。なぜなら、新卒から仕事をスタートした人や20代で他業種転職した人と比べて、すでに10年程度の差が生じているから。仮に入社が決まったとしても、その差を埋めるのは決して簡単ではないでしょう。余程その人に魅力がない限り、企業側が「不可能」と判断するのも無理はありません。

一方で、介護士としての仕事に関連が深い業種であれば、これまでの経験を強みにできる可能性があります。介護士としてのスキルや経験を活かせる業種を選択してみてください。同じ福祉業界であれば、「元介護士」という経歴に興味を抱いてくれる企業も多いのではないでしょうか。

30代で他業種転職をする場合、これが最後のチャンスです。安易な気持ちで転職先を決めてしまわないよう、十分に注意してください。また、30代の未経験者を積極的に募集している企業の中には、「人を雇ってもすぐに辞めてしまうブラック企業」もあるでしょう。こうした企業には、「30代の未経験者までターゲットにしなければならない理由」があるはず。ぜひこちらにも注目して、転職先を慎重に検討してみてください。

5.介護士が他業種へ転職する際の注意点

介護士から他業種へと転職する場合、注意しなければならない点もいくつかあります。4つのポイントを紹介するので、こちらもチェックしてみてください。

5.1 勤め先を安易に辞めないこと

介護士に限らず、他業種への転職は「内定を得るまでにどれだけ時間がかかるのか予測が難しい」という特徴があります。だからこそ、転職活動前に、安易に勤め先を辞めるのは避けた方が無難です。

介護士として仕事に就いていれば、毎月の収入は確保できます。転職活動が長期間に及んだとしても、生活が立ち行かなくなる恐れはないでしょう。もちろん、仕事をしながら転職活動を進めていくのは大変なこと。しかしいったん辞めてしまえば、転職活動中に別の職を得るのは難しいのです。途中で生活費が尽きてしまえば、転職先選びで妥協する場面も出てくるでしょう。

在職中から転職活動を行い、次の勤め先を決め、それから退職手続きを進めていくのがおすすめです。転職先企業にもその旨を伝え、入社日を調整できるよう準備しておきましょう。

5.2 転職活動の方針をはっきり決めること

介護士から他業種へと転職する場合、「とにかく今の仕事を辞めたい」という気持ちで突っ走ってしまう可能性も。「介護職以外で内定をもらえれば、何でも良い」と安易に考えるのは危険です。

  • なぜ介護士から他業種への転職を希望するのか?
  • 今の仕事の何に不満を感じているのか?
  • 転職先にどういった魅力を求めているのか?
  • 絶対に譲れない条件は何なのか?

これらの項目を、転職活動の方針としてはっきり決めておきましょう。

先ほどもお伝えしたとおり、他業種転職の場合、どれだけ時間がかかるのかわかりません。転職先がすぐに決まれば良いですが、そうではない場合、当初の方針からブレてしまうケースも多く見られます。せっかく転職しても、すぐに辞めることになっては意味がありません。何のために転職するのか、自分自身の中にしっかりとした軸を持つことで、失敗する可能性を低くできるでしょう。

転職活動の方針をはっきりさせる際には、「自分にとって我慢できないこと」から、譲れない条件を明らかにするのがおすすめです。

  • 給料
  • 仕事内容
  • 人間関係
  • 勤務地
  • 福利厚生

何が譲れないのかは、人それぞれで異なるもの。優先順位を決めておくだけでも、いざという場面で迷いにくくなるはずです。

5.3 業界内での転職についても冷静に検討すること

介護士から他業種転職を検討する場合、同時に検討したいのが、業界内での転職についてです。つまり、介護士という仕事内容はそのままに、職場だけを変更する可能性についても考慮してみてください。

介護士の仕事を辞めたいと思う背景には、さまざまな事情があるでしょう。

  • 十分な給与が得られていない
  • 休みが取れない
  • 残業が多い
  • 夜勤が辛い
  • 人間関係でストレスを感じる
  • 肉体的な負担が重い
  • ハラスメントが横行している

これらの不満は、職場を変えることで改善できる可能性があるのです。
介護士としての仕事が嫌ではなく、やりがいも感じている場合、辞めてしまうのはもったいないこと。他業種で一から仕事を覚えなくても、介護士としてキャリアを積み、出世の階段を上っていけるかもしれません。

今の仕事に対する不満を解消するため、別の施設を探すのであれば、さまざまな情報を集めるのはおすすめです。それぞれの施設の内情を知った上で、より良い転職先を探してみてください。

5.4 転職系サービスも有効活用すること

介護士が転職活動をする上で、課題になりやすいのが「時間の確保」です。転職活動をするためには、時間と手間がかかります。

他業種転職の場合、自分が本当に求める業界は何なのか、研究するところからスタートしなければいけません。自分の希望に合った求人情報を探すのも、非常に手間がかかります。応募書類の用意に面接対策と、やるべきことはたくさん。介護士としての激務をこなしながら、十分な準備を整えるのは非常に難しいでしょう。

だからこそ活用したいのが、転職系の各種サービスです。

  • 転職サイト
  • 転職エージェント

転職サイトを活用すれば、いつでも手軽に、ネット上で求人情報を検索できます。自分の希望条件を入力しておき、合致した情報を自動で案内してくれる機能は、非常に便利。すべての情報に目を通す手間が省けますし、忙しい毎日の中で重要な求人を見落とすリスクも少なくなります。

また転職エージェントを利用した場合、さらに充実したサポートを受けられるでしょう。情報提供を主な役割とする転職サイトとは違い、転職エージェントでは、転職希望者それぞれに担当アドバイザーがつきます。今の仕事のどういった点に不満を抱いているのか、また具体的にどのような転職先を求めているのかを把握した上で、条件に合う求人を紹介してくれます。また、応募書類の添削や面接対策など、内定を得るためのサポートも充実しています。

転職エージェントでは、転職前後の情報収集、交渉や調整を担ってもらえます。「転職希望先の人間関係はどうか?」といった細かい質問に答えてもらえたり、給与面でも待遇交渉をしてもらったりと、かなり力になってくれるでしょう。介護士が仕事を続けながら転職活動をする上で、もっとも課題になりやすいのが「時間」です。転職エージェントを利用すれば、自身の弱点を補えるのではないでしょうか。

まとめ

介護士として仕事をしている方の中には、「もう限界、転職したい…」と思っている方もいるのではないでしょうか?これまで介護の仕事しかしていなくても、他業種への転職は可能。

本気で転職を希望するなら、転職サイトや転職エージェントも活用しつつ、理想の転職先を探していきましょう。未経験からの他業種転職は、若い方が有利です。転職に対する不安もわかりますが、できるだけ早く決断した方が、より良い結果になりやすいはずです。

20代であれば、やる気と熱意をアピールしてみてください。これまで介護士としてどれだけ真剣に仕事に取り組んできたかを伝えられれば、粘り強さをアピールできます。一方で30代になると、条件の良い企業に他業種転職するのは難しくなってきます。転職希望先の情報をしっかり収集すると共に、介護業界内での経験を活かした転職についても、ぜひ検討してみてください。今の職場で抱えている問題も、勤め先施設が変われば解消できる可能性があります。

介護士からの転職について、メリット・デメリットの両方を知り、自分にとってより良い道を探ってみましょう。

参考サイト