介護業界の夜勤とはー仕事内容や勤務時間などを解説

介護業界でもグループホームや特別養護老人ホームなどの入所施設に就職すれば夜勤をしなければならない可能性は高くなります。

しかし、夜勤の仕事について「夜間はどんなことをするのか」、「何人体制で行うのか」、「勤務時間はどのくらいか」「自分でも勤められるのか」などと不安に感じている方もおられると思います。

この記事では、介護職の夜勤について仕事内容や勤務体制、夜勤のメリット・デメリットなどについて解説していきます。

介護職の夜勤について

介護の夜勤の業務は日勤の業務とあまり変わりません。多くの施設では日勤でしばらく働き、慣れてきてから夜勤に入ることがほとんどであるため、あまり心配する必要はありません。夜勤もすることを視野に入れて就職、転職活動をすれば比較的簡単に働き先を見つけることも可能です。

●夜勤手当は

夜勤手当は夜勤の時間や施設によって変わってきますが、夜勤1回あたりの金額は8時間の夜勤の場合は3000〜4000円、16時間夜勤の場合は5000〜10000円ぐらいです。

●仮眠をとることは出来るのか

夜勤中に仮眠をとることが出来るかどうかについては、実際には「仮眠が取れない」という現場が多いようです。多くの介護現場では夜間1人の職員でフロアの業務を担当するワンオペが常態化している施設が多く、そのような夜勤体制では排泄介助や安否確認、緊急時や体調の急変への対応、起床介助などの業務に追われ、仮眠がなかなか取れないという現状が多いようです。

●未経験でも夜勤は出来るのか

未経験でも介護の夜勤が出来るかどうかについては、介護に関する知識と経験、技術が無ければ夜間の業務を行うことは困難です。まずは、日勤で必要な知識と経験、技術を身に付けて、様々な業務や緊急事態に対応できるようにしていく必要があります。

夜勤の勤務体制について

夜勤の勤務時間などの勤務体制について気になる方は多いと思います。夜勤の勤務時間は主に16時間夜勤の2交代制と8時間夜勤の3交代制に分けることができます。

●2交代制(16時間夜勤)

2交代制の勤務時間について、施設によって異なりますが、だいたい16時〜17時から翌日の9〜10時までの勤務になります。2交代制の夜勤の場合は1回の夜勤で2日分勤務することになります。夜勤明けは勤務の扱いとなります。2交代は勤務時間が長く、夜勤者にかかる負担も大きいため夜勤明けの翌日は休みになっている施設が多いようです。3交代制の夜勤と比べると夜勤に入る日数は少なく、月に4回ぐらいとなります。

業務の大まかな流れ

17時から9時までの勤務の場合
17時出勤、申し送り
18時配膳、食事介助・食事摂取量の確認、服薬介助、口腔介助、下膳
20時就寝の準備、トイレ誘導・おむつ交換、更衣介助
21時~消灯、定期的に巡回・安否確認、トイレ誘導、おむつ交換、体位変換、カルテ記入、休憩
6時 起床の声掛け、トイレ誘導・おむつ交換、更衣介助、バイタルチェック
7時配膳、食事介助・食事摂取量の確認、服薬介助、口腔ケア、下膳
8時申し送り
9時退勤

施設によって業務の流れは違いますが、大体このような流れになります。

●3交代制(8時間夜勤)

3交代制の勤務時間について、こちらも施設によって異なりますが、だいたい22〜23時から翌日の7〜8時までの勤務になります。3交代の夜勤は夜勤明けは休みの扱いになり、夜勤明けの翌日は勤務日であることもあります。3交代の夜勤は勤務時間は短いが、3交代制の夜勤と比べると夜勤に入る日数は多く、月に8回ぐらいとなります。

業務の大まかな流れ

22時から8時までの勤務の場合
22時出勤、申し送り
23時~定期的に巡回・安否確認、トイレ誘導、おむつ交換、体位変換、カルテ記入、休憩
6時起床の声掛け、トイレ誘導・おむつ交換、更衣介助、バイタルチェック
7時配膳、食事介助・食事摂取量の確認、服薬介助、口腔ケア、下膳、申し送り
8時配膳、食事介助・食事摂取量の確認、服薬介助、口腔ケア、下膳、申し送り

3交代制の夜勤の場合も施設によって業務の流れは違いますが、大体このような流れになります。

夜勤の仕事内容について

夜勤の仕事内容は食事介助やトイレ誘導・おむつ交換などの業務の他に、巡回・安否確認などもあります。

●申し送り

出勤したら日勤の職員から入居者の状況や連絡事項など重要な情報を引き継ぎます。聞き忘れや漏れが無いようにメモなどを取っておくことが必要です。

●食事介助

申し送りが終われば、食事介助に入ります。食事介助では夕食の配膳・下膳、服薬管理、口腔ケアなども含まれます。入居者の介護度によって食事介助の内容も変わってきます。自分で食事を摂ることや口腔ケアが出来る入居者もいれば、職員が一部または全介助する必要がある入居者もおられます。あと入居者の食事摂取量のチェック、服薬のチェックなども行う必要があります。特に服薬管理はかなり注意しなければならない業務の1つで、他入居者の薬と間違えて服薬してしまうと最悪の場合死亡事故につながることがあります。

●トイレ誘導・排泄介助

入居者のトイレ誘導やおむつ交換も夜勤者の仕事で、就寝前と起床後にトイレに行かれる利用者が多くなります。就寝中にトイレに頻繁に行かれる入居者もいれば、ほとんど行かれない入居者もおられます。また、こちらも入居者の介護度によって職員の介助する内容が変わってきます。重度の入居者の場合は排泄はおむつ交換で対応することが多く、おむつ交換は就寝前と起床後に行い、夜間も定期的に行います。おむつ交換後に体位変換を行うこともあります。

●更衣介助

就寝前に寝間着に着替えたり、起床後に普段着に着替えたりしますが、自力では更衣が困難な場合には更衣の介助を行います。また、就寝中に失禁などがあり更衣しなければならなくなった場合にも更衣介助をします。

●夜間の巡回・安否確認

消灯後は1〜2時間ごとに巡回・安否確認を行います。入居者に体調に異変が無いか、トイレに行きたそうにしておられる人はいないかなどといったことを確認します。また、ナースコールが鳴れば居室を訪問し対応します。

●カルテ記入

入居者の食事摂取量や服薬時間、口腔ケアを行った時間、就寝時間、トイレに行った時間、おむつを交換した時間、体位変換を行った時間などをカルテに記入していきます。また、夜間の入居者の状態(良眠であった、夜間あまり寝ておられないなど)も記入する必要があります。翌日の日勤者に引き継ぐことも記録していきます。

●起床の準備

起床後はトイレ誘導、更衣介助、朝食の準備など様々な準備があり、職員が少ない場合もあるので業務が忙しくなりがちです。

●緊急時の対応

夜間、入居者の体調に異変があったり、転倒などの事故があった場合は夜勤者が対応をしなければなりません。普通の施設であれば緊急時の対応マニュアルや緊急連絡先などがあるため、事前に上司などに確認しておくことが重要です。

夜間の緊急時の対応は夜勤の介護士が行う必要があるため、精神的に大きな負担になることもあります。

夜勤のメリットとデメリットについて

夜勤にも当然メリット、デメリットはあります。

●夜勤のメリットについて

・転職・就職の選択肢が増える

介護で夜勤のない施設へ転職・就職しようとした場合、選択肢が限られてきます。また、グループホームや特別養護老人ホーム、デイサービスなどの施設を複数持っている大規模施設がデイサービスやデイケアなどのような夜勤が無い通所施設で職員を募集している場合でも、求人の備考欄に「今後、入所施設へ転勤することがあるため夜勤ができる方を希望します」としている場合があります。

休日や給与面が充実している大規模施設へ正社員として転職・就職を希望する場合は夜勤が出来たほうが有利となります。

・夜勤手当で収入が増える

当然、夜勤を多くすればするほど夜勤手当は増えます。日勤のみの職員よりも収入は増えます。夜勤は肉体的、精神的負担が大きいが、その分夜勤手当で収入が増えれば満足感が増します。

・2交代制の夜勤(16時間夜勤)の場合は日勤の出勤日数が減る

2交代制の夜勤の場合は夜勤明けの日も出勤の扱いになり、夜勤明けの翌日は休みの施設が多くなっています。完全週休2日の施設であれば、夜勤がある週は、日勤に出る日にちは3日になります。また夜勤明けの日は、退勤すればその日は自由になります。

・スキルが身につく

夜勤の場合は1人で車いすなどへの移乗介助や排泄介助などの業務を効率良く行う必要があります。また、緊急時への対応も経験していけば、大きな力となります。よって、夜勤を経験していけば介護士としてのスキルアップにつながっていきます。

●夜勤のデメリットについて

・体調を崩しやすい

日勤と夜勤を行う介護士は生活のリズムが乱れやすく、体調を崩しやすくなります。また、疲労が蓄積しやすく、休み明けの日でも疲れが残ってしまうことがあります。

その他、緊急時に1人で対応しなければならないこともあるため、精神的にも負担が大きく、ストレスが溜まりやすくなります。

夜勤は肉体的にも精神的にも大きな負担となるため心身ともに疲弊してしまう可能性があります。

・緊急時への対応に不安を感じる。トラブルが発生したときの対応が大変

夜間に入居者の体調の急変、転倒事故などがあれば小人数、または1人で対応しなければならないため夜勤者は不安を感じやすくなります。また、認知症の入居者が不穏になった場合の対応や失禁時の対応も職員が不足している中で行わなければならないので夜勤者に大きな負担がかかります。

介護職の夜勤専従について

夜勤専従は夜勤の時間帯だけ勤務する働き方で、日勤業務をすることはありません。夜勤専従は正社員として雇用する施設もありますが、パートなどの雇用形態が多い傾向にあります。

●夜勤専従のメリット

・収入が増える

夜勤専従の大きな魅力は夜勤手当が付くことです。また夜勤の回数も多いため、その分夜勤手当も多くなります。基本給と合わせれば給料は高くなります。

・日勤・夜勤がある勤務より生活のリズムを保つことが出来る

早出・遅出・夜勤などがあり、出勤時間が不規則な勤務と比べると生活のリズムが作りやすくなります。昼夜逆転の生活の生活でも苦しくない人には向いている勤務形態といえるでしょう。

・プライベートな時間が多くなる

日勤業務の介護士より勤務日が少なくなり、プライベートな時間が多くなります。その時間を活かして勉強したり、副業したり、趣味や娯楽に使うことができます。

●夜勤専従のデメリット

・体調に悪影響を及ぼす可能性がある

昼夜逆転の生活は自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れるとイライラしたり気分が落ち込んだりするため 精神面に悪影響を与える可能性があります。また、体内時計も乱れやすくなります。体内時計が長期間乱れ続けている状態が続くと生活習慣病のリスクも高まるとされています。その他、睡眠障害などにも繋がる可能性があります。

・未経験では採用されにくい

夜勤業務は介護に関する知識や経験、技術が必要であり、緊急時への対応力、業務を効率よく行う力なども要求されます。従って未経験ではなかなか採用されません。

夜勤のある施設で働く際の注意点

夜勤のある施設で働く場合は、その施設についてよく調べておく必要があります。夜勤業務は肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。長く勤めようと思えば、労働環境や待遇面などが良い施設を選ぶ必要があります。また、「若い時は大丈夫そうだけど、年を重ねても働き続けることが出来るか」といったことも考えておく必要があります。

  • 月に何回夜勤があるのか
  • 1回の夜勤手当はどのくらいか
  • 夜間は何人体制で行っているのか
  • 仮眠は取れるのか
  • 夜勤者の急な休みで、急遽夜勤をしなければならないことがあるのか

などといったことを確認する必要があります。

自分の中で妥協できる点、妥協できない点をしっかりと考えてから働く必要があります。

まとめ

施設によって勤務時間や待遇、労働時間は変わってきます。自分自身の条件に合った施設を見つけて満足のいく働き方をしましょう。

参考サイト