「人と話すのが苦手」と感じている人へ-その原因・特徴と克服方法を解説

人と話すことが苦手で、学校の同級生や職場の同僚との会話がなかなか楽しめない人がおられると思います。人と話すことが苦手であると親友や恋人ができにくく、人生の様々な面で損をしている可能性があります。

この記事では、人と話すことが苦手な人にその克服方法や役に立つコミュニケーションスキルなどを解説します。

1.人と話すことが苦手なことによるデメリット

人と話すことが苦手であると、公私様々な面で損をしてしまいます。

1.1 友人や恋人ができにくい。情報が入ってきにくくなる

友人や恋人が出来たとしても、人と話すことが苦手であると話が続かなかったりして、「あの人と話をしても気まずくなる、つまらない」との印象を持たれてしまい、恋人や友人関係が深まらなかったり、続かない可能性があります。

また、友人との会話を通して様々な情報交換をすることがあります。ビジネスでは、友人や知人から有益な情報により、チャンスをものにするということもあり得ます。しかし、人と話すことが苦手であるとスムーズに会話をすることが出来ず、お互いの情報交換も上手くできません。その結果、チャンスをみすみす逃してしまうということも考えられます。

その他、人と話すことが苦手であると人間関係も浅くなり、仕事面やプライベートな面でも相談する相手がおらず、適切な行動が出来ないといった状況に陥る可能性もあります。

1.2 就職・転職時の面接で不利になる

就職・転職時の面接では、応募者の能力だけでなく人柄も重視します。人と話すことが苦手であれば、自分がどんな人間であるかをなかなか伝えられません。さらに、コミュニケーション能力も低いと判断されてしまいます。そうした状況になれば、内定を取ることは困難になるでしょう。

1.3 職場の人間関係が上手くいきにくい

職場の人と打ち解けていくためにも会話などが重要になることがあります。職場の人と気軽に会話が出来る関係を築ければ人間関係は良好であり、職員の和の中に溶け込むことも難しくないでしょう。

しかし、人と話すことが苦手であると職場の人と人間関係を築いていくことが難しくなります。職場の人と打ち解けることが上手くできなければ、仕事上の悩みなどを気軽に相談できる関係や助け合える関係というものがなかなか出来ません。また、上司や同僚、部下と良好な関係を築けなければ、責任のある仕事や重要な仕事も任されにくくなり、キャリアアップの機会も逃しやすくなります。

2.「人と話すのが苦手」な原因・特徴

ここでは「人と話すことが苦手」な原因と特徴について解説します。

2.1 原因

「人と話すことが苦手」というのを克服するためにも原因について知っておく必要があります。

2.1.1 自分が言ったことに対して否定された、馬鹿にされた、コミュニケーションで失敗して恥をかいた

人と話していて失敗したり、自分の言ったことに対して否定されたり、馬鹿にされると傷つく人は少なくありません。そうした経験がトラウマとなり、自信を無くしたり、人と会話をすることが怖くなり、他人との会話を避けてしまう原因となることはあります。

2.1.2 人見知りで友人が少なく一人で過ごすことが多く、会話した経験が少なかった

友人が少ないと一人で過ごすことが多くなりがちです。特に、人見知りであると自分から話しかけにくく、友人が出来にくいため、人と会話する機会が減ってしまいます。

人と話す機会が少ないと「どのように話し掛ければいいのか」、「どんなことを話題にすればいいのか」、「話しかけると相手はどんな反応をするのか」といったことが気になり、なかなか自分からは話しかけにくくなります。

また、話し掛けられても話が続かなかったら、沈黙が続き、気まずい雰囲気にもなります。そうして、人と話すことに対してより強い苦手意識を持ってしまうと悪循環に陥ってしまう可能性があります。

2.2 特徴

人と話すことが苦手な人にはいくつかの特徴があります。人と話すことが苦手なことを克服するためにも、自分がその特徴に当てはまっていないか確認してみることをおすすめします。

2.2.1 自分の話ばかりしてしまう

自分ばかり話をしている場合は、相手から「この人とは話をしたくない」と会話を避けられることが多いでしょう。会話は相手があって初めて成り立つものです。自分の話だけでなく、相手の話も引き出すことが重要です。相手の話をよく聞くことが重要です。

自分ばかり話をしてしまう理由として、相手にあまり関心を持っていない可能性が考えられます。

2.2.2 自分に対して自信がない、自分に意識が向いている

自分に自信が無いために、「自分と話をしても面白くないのではないか」、「馬鹿にされないか」、「相手を不快にさせてしまわないか」といったことが気になり、積極的に会話をすることが出来ません。特に、過去に会話で失敗した経験があると、それがトラウマになってしまいます。

また、自分に意識が向いていると「自分は他人からどう思われているのか」「自分と話をして相手はどう思うのか」といったように、人の目を気にしてしまうため会話自体を楽しむことが出来ません。

2.2.3 警戒心が強い

相手に対して警戒心が強いと「相手は自分の話したことについて、陰でバカにしていないか」といったように考え、相手と距離を置いてしまいがちです。特に、過去に友人に裏切られた経験がある人はより警戒心が強くなります。ある程度警戒心を持つことは大切ですが、あまり疑いすぎると相手と打ち解けることは出来ません。

2.2.4 緊張しやすい

緊張しがちな人は、声が小さくなったり、頭が真っ白になることがあるため、なかなか他人と上手く会話をすることができません。特にまだ打ち解けていない人と話をする場合は、1対1で会話をする場合でも緊張してしまいます。

2.2.5 会話中に別のことを考えてしまう

会話中に別のことを考えていると相手にも伝わってしまうことがあります。上の空で話を聞いていると、いい加減な返事をしたり、途中、相手から質問されたときに「え」などと言ってしまい、話を聞いていないことがバレてしまうことがあります。相手に対して失礼であり、会話をする気持ちを失うことにも繋がります。

2.2.6 控えめな性格、遠慮しすぎている

控えめな性格や遠慮がちな性格の場合は、なかなか自分から話しかけることが出来ません。また、「この質問は相手に不快感を与えないか」、「この話は相手に失礼かな」といったことを気にしていまい、会話が出来なかったり、続かなくなってしまいます。

2.2.7 無表情で反応が乏しい

無表情で反応が乏しいと、相手に気持ちが伝わりにくくなります。また、相手からは「話しにくい」といったように感じ、会話がなかなか続きません。

2.2.8 会話を広げるのが苦手

話を広げることが出来ないと、なかなか話を続けることが出来ません。話題が少ないと話を広げることもできないので、新聞やテレビ、ネットなどである程度、情報を仕入れておいたほうが良いでしょう。

3.人と話すことが得意な人の特徴

人と話すことが得意な人にはいくつか特徴があります。これらを参考にしてみてください。

3.1 相手の話を遮らない

人と話すことが得意な人は、相手の話をよく聞き、途中で話を遮るようなことはしません。相手の話をよく聞いてから自分の話をします。

3.2 相手に寄り添い傾聴する、適度に共感する

人と話すことが得意な人は聞き上手でもあります。まず相手の話を親身になって聞き、相手の言うことを否定せず、気持ちを受け止めます。

3.3 適度に相づちなどをする

適度に相づちをすることで、相手は「自分の話を聞いてくれている」「理解してくれている」といった印象を持つようになります。

3.4 会話中に共通の事柄を見つけることが上手

会話中に相手との共通の事柄を見つけることが出来れば、話を広げ、より相手との心の距離を縮めることができます。共通の趣味などを話題にすると話しが盛り上がり、相手は自分に対してより親近感を感じるようになります。

4.「人と話すのが苦手」を克服する方法と意識しておきたいポイント

「人と話すのが苦手」を克服する方法と意識しておきたいポイントについて解説します。良かったら参考にしてみてください。

4.1 意識しておきたいポイント

人と話をする場合、意識しておいたほうが良いポイントがあります。

4.1.1 上手に話そうと考えない

上手に話そうと思うと会話自体が楽しめなくなります。「相手は楽しんでいるのか」「話が続かなかったら」といったようなことが気になり、不安な気持ちが強くなります。相手を侮辱するようなことを言わなかったら、会話で失敗したとしても、相手は何とも思っていないことが多いため、気にせず話をするようにしましょう。

4.1.2 笑顔を心がける

メラビアンの法則によると相手に与える印象として、視覚情報(見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線)は55%を占めていると言われています。よって、相手と会話をするときは表情も重要になってきます。真剣な話をしているとき以外は笑顔を見せた方が、相手に対しても印象が良くなります。

4.1.3 相手の目をしっかり見る

相手の目を見て話すことで、興味や好意があることを示したり、真剣に話を聞いていることを示すことができます。目を見て話しをすることが苦手な人は鼻柱のあたりを見るようにすることをおすすめします。

4.1.4 相手が聞き取りやすいよう話すことを心がける

聞き取りやすい声を目指すためのトレーニングとして母音法、リップロール、タングトリル、ロングトーンなどがあります。他記事で解説する予定です。

4.1.5 悪口や愚痴、うわさ話などは話題にしない

悪口や愚痴、うわさ話などは人によっては嫌悪感を感じることがあります。また、信用も無くすことがあるので避けた方が良い話題と言えるでしょう。

4.2 克服方法

克服方法についていくつか解説します。良かったら参考にしてみてください。

4.2.1 相手に関心を持つ、上手に質問出来るように心がける

人と話すことが苦手な人は、まずは相手に関心を持つことからおすすめします。自分の話に関心を持ってもらうことに対してうれしく感じる人は少なくありません。また、質問すると相手から話題を引き出すこともできます。ただし、相手が煩わしく思わない程度に質問するようにしましょう。

4.2.2 相手の話をよく聞くように心がける

コミュニケーションで重要なことの1つに、「相手の話をよく聞く」というのがあり、コミュニケーション能力が高い人は聞き上手とも言われています。

人は「自分の話を聞いてほしい」という欲求を潜在的に持っています。人と話すことが苦手な人はまずは相手の話をよく聞くようにしましょう。また、相手が話し上手である場合は、相手の話し方を参考にしてみるのも良いでしょう。

4.2.3 自分から相手に話し掛けるように努力する

相手から話しかけられるのを待っていても、会話の機会がなかなか訪れません。自分から積極的に話しかけてみましょう。

4.2.4 少し大きめの声でゆっくり話す

早口や小さな声は何を言っているのか分かりにくい場合があります。大きめの声でゆっくり話した方が聞き取りやすくなります。

4.2.5 話題に困らないよう、新聞・テレビ・ネットなどから情報を仕入れる、ネタを用意しておく

会話が続かない原因として持っている話題が少ない場合があります。特に初対面の人が相手だとどんな話題から話をしていけば良いのか困ります。最近、ニュースになっていることなどを話題にすると会話をするきっかけになる場合もあります。

また、幅広く話題を持っていると、相手と共通の話題を見つけやすくなります。相手がより深い情報を持っている場合、上手く質問していけば会話が盛り上がる可能性もあります。

4.2.6 話題を広げられるように練習する

話題を広げられるようになれば、会話が続き、さらに共通の事柄も見つけられるようになる可能性もあります。「閉じた質問」と「開いた質問」を組み合わせて利用すると役に立つことがあります。「閉じた質問」と「開いた質問」については次の章で解説します。

4.2.7 他人と会話する機会を増やし、慣れるようにする

人と話をすることに対しての苦手意識を克服するためには場数を踏んでいくことが大切です。いろいろな人と話すことで、コミュニケーションの取り方について勉強にもなります。

5.人と話すときに役立つコミュニケーションスキル

相手のことをより理解しようとしたり、会話をスムーズにしようとする場合に役立つコミュニケーションスキルについて解説します。

5.1 閉ざされた質問と開かれた質問

閉ざされた質問は「はい」や「いいえ」など一言で答えられる質問です。開かれた質問は「はい」や「いいえ」など一言では答えられない自由度のある質問です。

初対面の人と話をするときに閉ざされた質問と開かれた質問を組み合わせると話を続けたり、話を広げやすくなります。

例えば「ゲームは好きですか」「映画は見ますか」といった質問をし、ゲームが好きであったり、映画を見る場合は「どんなゲームをしますか」「どんな映画を見ますか」といったように質問をしていき、話を広げていく方法があります。

5.2 繰り返し技法

繰り返し技法は相手の発言を繰り返しながら会話をすることを繰り返し技法といいます。繰り返し技法を使うことで相手に「話を聞いてもらっている」、「理解してほしいことが伝わっている」といったことを感じてもらいやすくなります。

相手の話を聞いて、反応するのが苦手な方は、繰り返し技法を使ってみると良いでしょう。相手の気持ちに寄り添いながら、重要な言葉を見極めてその言葉を繰り返すようにするとより効果的です。ただし、ただ単に相手の言葉を繰り返していると逆効果になることがあるので注意が必要です。

5.3 ミラーリング

ミラーリングとは相手の動作や表情を鏡で映したときと同じようにすることを言います。同じ動作をすることで、相手が無意識に親近感や安心感、共感を得ることが出来ます。ただし、わざとらしくならないよう、さりげなくすることが重要です。

5.4 マッチング

マッチングとは相手の声のトーンやテンポ、大きさ、リズムを合わせることをいいます。相手のペースに合わせることが重要です。マッチングによりコミュニケーションがスムーズになります。

また、マッチングを応用した使い方として、感情的になり早口で話している相手に対して、あえてゆっくり落ち着いて話し掛けるなどして、自分のペースにあわせていくことがあります。また、繰り返し技法も一緒に使用することで、興奮している相手を徐々に落ち着かせるのに効果を発揮します。介護現場で興奮している利用者や入居者を落ち着かせたり、クレーム対応で興奮している顧客を落ち着かせる時などに使われることがあります。

6.話すことが苦手な人でも出来る仕事

人と話すことが苦手な人が、話す機会が多い仕事に就いてしまうと精神的につらくなり長続きしません。全く人と話す必要が無い仕事はありませんが、あまり人と話さなくてもいい仕事はあります。

6.1 工場のライン

工場のラインで製品を作る業務では会話をすることがほとんどなく、業務に集中するため私語を禁止している職場も多くあります。休憩中以外は職場の人と会話をする機会は非常に少ないです。

6.2 エンジニア・プログラマー

エンジニア・プログラマーは同じ職場の人やプロジェクトのメンバーとコミュニケーションをとる必要がある時がありますが、営業などと比べると会話をする機会は少なくなります。また、基本的には個人で黙々と業務を進めていくため、人と話す機会は少ないでしょう。

6.3 警備員

警備員は施設などの警備をしたり、交通・工事現場の誘導作業を行ったりします。現場業務中は私語を禁止していることが多いため黙って仕事をしたい人にはおすすめです。

6.4 トラックの運転手

トラック運転手は一人で運転することが多く、勤務時間の大半はトラックの運転で過ごすことが多いため、人と話す機会はほとんどありません。人と話すことが苦手で、一人で過ごしたい人に向いているでしょう。

まとめ

この記事では「人と話すのが苦手な人」の特徴と克服方法について解説しました。会話に対しての苦手意識を克服することは容易なことではなく、少々時間が掛かることもあります。しかし、会話に対しての苦手意識を放置しておけば、ビジネス面だけでなくプライベートな面でも大きく損をしている可能性があります。

少しずつでも克服していけば、人脈も広がり、新たな出会いや発見もあるかもしれません。

参考サイト