介護職でも人事異動はある? 拒否することはできるのか?

人事異動となると環境が変わることなどから不安に思う人も少なく、「介護施設でも人事異動はあるのか?」と思われる人はおられると思います。実際、介護施設でも人事異動はあります。ただし、施設によって頻繁にある施設とそうでない施設はあります。

この記事では人事異動がある理由や人事異動のメリット・デメリット、人事異動は拒否できるのかなどについて解説していきます。

1.介護施設でも人事異動はあるのか?なぜ人事異動があるのか?

介護施設でも人事異動はあります。介護施設によっては人事異動があまりない施設があれば、数年おきに人事異動を行っている施設もあります。転職をする場合などは志望する施設の求人票を確認してみると良いでしょう。人事異動の内示は1か月から数週間前にでます。

介護施設の人事異動は、老人保健施設からデイケアのように併設された他施設に異動する場合があります。大きな施設であれば、デイケアから別地区のデイケアに移動する場合もあります。人事異動の対象となるのは正職員となる場合が多いが、中には契約職員やパートが対象となる場合があります。

人事異動がある理由としては、職員の退職などにより欠員を補充する場合や多くの経験を積ませるため、職員の適性を見て行うことがあります。また、職場の雰囲気が悪くなった場合などに環境を変えるために人事異動を行う場合もあります。

2.人事異動は拒否できるのか

求人票などに「転勤あり」となっていた場合は、人事異動があるとの前提で職員を雇っています。よって、人事異動を拒否できる可能性は低いでしょう。

また、人事異動は拒否できるのかについては就業規則を確認してみる必要もあります。就業規則に「人事異動の拒否はできない」といったようなことが定めてあった場合は原則として人事異動の拒否をすることはできません。場合によっては就業規則に「正当な理由なしに異動を拒否した場合は懲戒処分の対象になる」と定めている場合もあるため、人事異動の拒否はリスクを伴う場合があります。

3.人事異動のメリット

人事異動には大変そうなイメージがあるかもしれませんが、メリットもあります。

3.1 人脈が広がる

職場が変われば新たな人間関係作りをするために自分から積極的に話しかけるなどの努力が必要ですが人脈を広げることができます。良好な人脈ができれば、お互い助け合ったり、業務上などの悩みなどについても相談したりして自分自身の成長につながることもあります。

その他、人脈が広がり、良好な人間関係を築くことができれば、転職をする時などに他職員から他事業所の口コミなどの有益な情報が得られ参考になる場合があります。

3.2 様々な介護施設で働くことにより柔軟性や介護技術が身につく。転職をする時の参考になる

様々な介護施設で働くことにより、これまで経験のない業務を学ぶことができ、柔軟性を身に付けることができます。また、様々な利用者・入居者と接することで、さまざまな身体介護のケースを学ぶことができ、介護技術を高めることもできます。また、認知症高齢者の対応についても数多く経験することにうまく対応できるようにもなります。管理職などについた場合などでも、それぞれ経験してきた施設の良い面を業務に取り入れていけば職場の労働環境も改善していく可能性があります。

その他、デイサービス、グループホーム、老人保健施設など様々な施設を経験しておけば、それぞれの施設の業務はどんなものかがイメージできるため、転職をする時に「自分に合った施設」を考えた場合にとても参考になります。

3.3 今の職場と合わない時、環境を変えられる

職場が合わない場合、転職を考える人もおられると思います。

転職をする場合、

  • 転職先を探す
  • 書類選考、面接対策をする。採用選考を受ける
  • 退職理由を考え、上司に説明する。退職届を出す

などといったことをする必要があります。どれも負担のかかる作業であり、大きなエネルギーを使います。

人事異動であれば、これらのことをせずに環境を新しくできます。

4.人事異動のデメリット

人事異動のデメリットについて解説します。

4.1 新しい環境に慣れるまでに精神的な負担がかかる

人事異動で新しい職場に行くと職員と新しい人間関係を築いていく必要があります。また、新しい職場の業務の進め方を覚えたり、利用者・入居者の名前や顔、それぞれの利用者・入居者ごとの介助方法などについても覚えていく必要があり、信頼関係も築いていく必要があります。特に、慣れるまでは事故やトラブルを起こさないように非常に神経を使います。

デイケア勤務で別地区のデイケアへ異動となった場合、同じデイサービスでも職場が変われば業務の進め方などが違うということはよくあります。ましてやデイケアからグループホームなどと変われば業務内容が大きく変わり、慣れるまで精神的に大きな負担がかかります。

4.2 労働環境が厳しく離職率が高い職場に配属される可能性がある

ブラックな施設では労働環境が過酷で離職率が高いことがよくあります。そのため、職員を募集していてもなかなか求人が集まらないことが多いため、同事業所内で人事異動をして不足している職員を補充している場合があります。

よって、新しい職場は「人間関係が悪い」、「急な休日出勤がよくある」、「残業が多い」など前の職場より労働環境が悪化してしまう場合があります。

中には短期の人事異動で1か月の応援という形で他施設で勤務するという場合もありますが、施設の都合で1か月が2か月、3か月と伸びて行ったり、そのままそこでずっと勤務するようになることもあります。

4.3 新たな業務が肉体的・精神的に大きな負担となる場合がある

通所施設から入所施設に異動となれば、当然夜勤する必要が出てきます。また、グループホームへの移動となれば料理を作らなければならない場合もあります。その他、デイサービスなどへ移動すればレクレーションを担当する機会が増える場合もあります。

このように人事異動で新しい業務などをする必要がある場合があり、異動をした職員に大きな負担となる場合があります。

5.どうしても人事異動したくない場合は

人事異動を拒否することはほとんど不可能ですが、「どうしても人事異動はしたくない」と考えている人もおられると思います。その場合どのようにすればいいのか解説します。

5.1 人事と相談する

人事異動を拒否する時に人事に納得できる形で説得するためには、明確で合理的な理由を提示することが重要です。例えば、「異動先は夜勤をする必要があるが、体調面で夜勤はドクターストップがかかっている」、「勤務地が遠くなると仕事と子育てや家族の介護の両立が難しくなる」といったようにです。

人事が納得できる理由が無ければ退職せざるを得ない場合がありますが、人手不足の施設では人事異動が原因で新たな離職が起こることを恐れている施設もあるため、退職をちらつかせれば拒否できる可能性もあります。ただし、人事からの評価は悪くなる可能性が高いため自己責任で行ってください。

5.2 一度人事異動を受け入れてから、再び異動願いを申し出るかそのまま働き続けるのか判断する

人事異動を一度受け入れてから、そのまま働き続けるのか、再び異動願いを申し出るのかを考えてみるのも1つの方法です。「実際働いてみたら自分に合っていた」ということもあります。また、様々な職場、施設を経験することで、いろいろ勉強になることもあります。

どうしても合わない場合は異動願を申し出て、通らなかった場合は転職などを考えてみましょう。

5.3 転職をする

最終手段として転職という方法があります。ただし、転職先が「転勤あり」となっていた場合は退職理由について聞かれたときに、人事異動を理由にすると不利になる可能性が高くなります。正職員で人事異動が無い介護施設を探そうと思った場合、転職エージェントを利用して転職活動することをおすすめします。

まとめ

「人事異動はしたくない」、「同じ職場でずっと働き続けたい」と考えてられる人もおられると思います。確かに人事異動で職場が新しくなると大変な部分もありますが、新しい人間関係ができたり、業務のことで色々なことを学ぶことができ勉強になる面もあります。

同じ環境にずっとい続けると今ある環境がすべてであると思い込んでしまうことがあり、自分自身の成長が止まってしまうことがあります。人事異動で新しい職場で働き始めた時は大変な思いをしても、異動することで経験値や知識量が増え、何年か先に「あの時の経験は自分にプラスになった」と思えることもあります。

人事異動を命じられた時は悲観的にならず、前向きに考えてみることをおすすめします。

参考サイト