介護士にパソコンスキルは必要か

介護業界はIT化が他業種と比べて遅れを取っていますが、今後は徐々にIT化も進んでくるものと思われます。

介護業界で働く場合、「パソコンスキルが必要か?」「パソコンスキルがあった方が転職・就職に有利か?」「どの程度のパソコンスキルが必要か」といったことが気になる方もおられると思います。

この記事では、介護業界で働くにあたり、「パソコンスキルが必要かどうか」「どの程度のパソコンスキルがあった方が良いのか」について解説していこうと思います。

1.介護士にパソコンスキルは必須なのか?

結論から言うと、あった方が良いが、それほど高度なパソコンスキルは必要ありません。キーボードで文字などが入力できれば業務をしていくにあたり、特に問題ありません。実際、介護職ではパソコンスキルが必須ではない求人も多くあります。

介護業界ではパソコンが苦手な介護士も少なくありません。この記事の著者が働いていた施設でもパソコンが苦手な介護士の人は何人かおられ、そういった人はパソコンに少し詳しい人に助けてもらったりして仕事をしておられる場面を見かけることはよくありました。パソコンが苦手な人もパソコンを使った業務をしていくうちに徐々に慣れておられました。

また、パソコンスキルの必要性は施設によって異なってきます。施設によってはパソコンを使うのは一部の介護士のみで、それ以外の介護士はパソコンを使うことがほとんどない場合もあります。逆に、手書きでの介護記録の記入を廃止している施設では、パソコンやタブレット端末が使用できなければ仕事にならない場合もあります。ただ、今後は手書きでの記入をしている施設は減っていくことも予想されるので、ある程度のパソコンスキルは身に付けておいた方が良いかもしれません。

2.介護職でパソコンを使う業務は

介護職でパソコンを使う仕事は主にどんなものがあるのかについて解説していこうと思います。役職などによってパソコンを使う仕事は変わってきますが、以下のようなものがあります。

2.1 介護記録の記入

介護記録を電子化している施設では、ワイズマンなどの介護ソフトを使用して利用者・入居者の情報をクラウド上で一括管理しているところもあり、毎日の利用者・入居者のバイタルや食事量、その日の様子をパソコンやipadなどのタブレット端末で入力しています。

2.2 事故報告書の作成

ワイズマンなどの介護ソフトには事故報告書などを作成できるものもあり、施設によってはパソコンなどで入力するようになっているところもあります。介護ソフトを使用して利用者・入居者の事故報告書などのデータをクラウド上で管理することで施設の本部の職員や施設ケアマネなどが事故報告書を共有しやすくしています。

2.3 レクレーション、行事の計画書・報告書、勤務シフト表、会議などの書類の作成

勤務シフトや会議の書類は主任や管理者など役職のある職員が作成することが多く、一般の介護士はあまり関係ないかもしれません。レクレーションや行事などの計画などは、一般の介護士も関わることが多いため、担当者になれば計画書や報告書などを作成する必要が出てきます。手書きで計画書や報告書などを作成する施設もありますが、中にはパソコンで作成する施設もあります。

また、広報誌など作成の担当になった場合はどこの施設でもパソコンを使わなければならないでしょう。

2.4 業務に関する情報収集

行事やレクレーションを企画する際にネットから情報を収集して参考にする場合もあります。また、作品作りなどで折り紙を使う場合、動画などを見て折る順序などを調べたりする場合もあります。

3.どの程度のパソコンスキルが必要か

どの程度のパソコンスキルが必要かは役職などによっても変わってきますが、高度なパソコンスキルは必要ありません。日々の介護記録を入力するぐらいであればキーボードで文字を入力できれば特に問題はありません。介護ソフトを使用している場合は使い方を覚える必要がありますが、慣れないうちはマニュアルを見たり、他の職員に聞いていけば業務に大きな支障はありません。

主任や管理者などになれば勤務表や勤務実績、会議の書類、研修の資料などを作成する必要があるので文書作成ソフトや表計算ソフトなどが使える必要があります。

行事やレクレーションなどの担当になり、計画書や報告書などをパソコンで作成している場合も文書作成ソフトなどが必要になります。

施設によっては勤務表や勤務実績、会議の書類、研修の資料、行事やレクレーションなどの計画書や報告書などの文書ファイルを共有フォルダなどに保存、管理している場合があるので、フォルダ内から探したいファイルを見つけたり、ファイルの移動、ファイルのコピー・貼り付け、ファイル名の変更などが出来れば作成した文書ファイルなどを管理しやすくなります。

パソコンスキルは基本的なことが出来れば特に問題はないと思われます。また、施設によって必要なパソコンスキルは違ってくるので、働き始めてから必要なスキルを身に付けていくのでも問題は無いと思います。心配な場合は面接時に確認してみるといいでしょう。

4.マスターしておきたいパソコンスキル

基本的なパソコンスキルがあれば特に問題はありませんが、実際どんなスキルが必要なのか気になる人がおられるかもしれません。ここでは具体的にどんなパソコンスキルがあれば良いのかを解説していきます。

4.1 基本的なタイピング

パソコンで文字を入力する場合、キーボードから文字を入力しますが、アルファベットの配列を把握しておくと文字入力に手こずることが少なくなります。キーボードを見ずに文字を入力するブラインドタッチが出来れば文字を入力する作業は格段に速くなります。

キーボード操作には「ローマ字入力」と「かな入力」がありますが、多くの人は「ローマ字入力」で操作しています。ただし、たまに「かな入力」で操作している人もおり、その人が使用した後に「かな入力」になったままということもあるので、操作を「かな入力」から「ローマ字入力」に変える方法を知っておいた方が良いでしょう。

4.2 Word・Excel

計画書や報告書、会議などの書類作成はWordを使うことがほとんどです。文字の左揃えや中央揃え、文字を太字にするなどの基本操作は知っておいた方が良いでしょう。文書ファイルの保存方法や印刷方法も覚えておく必要があり、印刷も片面や両面印刷をする方法なども覚えておいた方が良いでしょう。

勤務シフト、勤務実績などはExcelを使うことがよくあります。IF関数やSUM関数などの基本的な関数を知っておくとより効率化できます。同じ処理を繰り返す場合はマクロを利用すると便利ですが、施設によってはマクロを使うことを嫌う施設もあるため注意が必要です。

また、施設によってはWordやExcel以外のソフトを使用している場合もあり、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなどが使われることがあります。心配な場合は就職・転職の面接などの時に確認してみると良いでしょう。

4.3 ネット検索

何か調べものをするときは、ネットで情報を検索するスキルは身に付けておいた方が良いでしょう。ネットで情報を検索する場合はGoogleで検索することをおススメします。

介護に関係することで調べたいことがあったり、パソコンの使い方について分からないことがあった場合はGoogleで検索すると答えがすぐに見つかることがあります。また、YouTubeなどの動画配信サイトでも調べものをすると知りたかった情報を入手することができます。

Google検索では検索窓に調べたいキーワードを入力すると、そのキーワードについて書かれたサイトが大量に表示されます。Googleで何かを検索する時は2~3個のキーワードを入力して検索することが多いですが、「どんなキーワードを入力すれば自分が知りたい情報が得られるのか」といった検索スキルを身に付けておけば仕事以外の私生活でも役に立ちます。

まとめ

介護士にパソコンスキルは必須ではないものの、基本的なパソコンスキルは身に付けておいた方が無難です。仕事をしながらどんなスキルが必要であるかを見極めていくことが重要であると思います。

また、現在介護士として働いておられる方でパソコンをほとんど使うことが無い人も、今後介護業界のIT化でパソコンを使う機会が増えてくる可能性があります。

パソコンについて苦手意識を持っている介護士も少なくはないかもしれません。急いでパソコンスキルを身に付ける必要はないかもしれませんが、パソコンについての苦手意識を少しずつでも改善していった方が良いでしょう。

パソコンスキルを身に付けておけば施設選びで選択肢が広がり、業務を効率化できる可能性もあります。パソコンスキルの向上について、ぜひ前向きに考えてみることをおすすめします。

参考サイト