介護士は太る? 太ったと感じた時のおすすめダイエットは

介護業界に勤めていると「介護士は太る」という話を聞くことが時々あります。実際、介護の仕事をしてきて同僚などが「最近、太った。」といった話を聞くことはあり、確かに少しぽっちゃり気味の人もおられましたが、他の職種と比べて特別太っている人が多いとの印象はありませんでした。とは言え、介護士には太りやすい要因があります。

この記事では介護士が太ることによる問題点や太る原因、おすすめダイエット方法、この記事の執筆者の体験などについて解説していきます。

1.介護士が太ることによる問題

介護士が太っていることによる最大の問題点は、腰痛や膝痛の発生リスクが高くなることです。体重が増加すると、膝や腰などの関節にかかる負荷が大きくなり、関節痛のリスクが高くなるとされています。

特に、特に、人が歩く時には膝には体重の2〜3倍、階段を上り下りをするときには6〜7倍もの負荷がかかると言われています。また、立ったり、座ったり、前かがみになるといった動作は腰に体重の約2.5倍の負荷をかけると言われています。よって、過剰な体重が腰や膝の関節にかかる負荷を増加させ、炎症を引き起こす原因となります。

介護士が腰痛や膝痛を抱えてしまうと介護の仕事を行うことが困難になり、最悪の場合は他業種へ転職する必要がでてきます。30代後半~40代の時期に未経験で他業種への転職はかなり難しくなります。

よって、介護士が肥満を防ぐことは腰痛や膝痛を予防するための重要なことになります。適度な運動と食生活に気を付け、自分の適性体重を維持することが、腰痛や膝痛を予防するために役立つとされています。

2.介護士が太る原因

介護士が太る主な原因として以下の3つがあります。

2.1 夜勤やシフト業務による不規則な生活

夜勤やシフト業務は普通の生活リズムとはことなり、睡眠時間がバラバラになるなど生活リズムが不規則になりやすく、睡眠障害を引き起こす原因になります。また、慢性的な睡眠不足は体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。慢性的な睡眠不足により食欲を増進するホルモンが増え、食欲を抑制するホルモンが減ると言われています。

また、夜勤は夜間の運動量は少なく、夜勤明けの日などは昼間に寝ているので運動不足になりやすい面もあります。

2.2 ストレスが多い

介護の仕事はストレスを感じやすい仕事です。人はストレスを感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。コルチゾールが分泌されると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが減少します。 セロトニンは食欲を抑える働きがあるが、セロトニンが抑制されてしまうと食欲が増してしまいます。

また、コルチゾールが分泌されると脂質と糖質がたっぷりの高カロリーな食べ物を欲するようになります。無意識に高カロリーな食べ物を食べ過ぎてしまい、結果として太ってしまいます。その他、人はストレスを感じることにより血糖値が上昇することもあり、血糖値が高い状態が長く続くと、脂肪蓄積を促進するインスリンの分泌が過剰になり、肥満に繋がる可能性があります。

2.3 不規則な食生活

介護士は夜勤やシフト業務などで食生活も不規則になりやすくなります。不規則な食生活では、食事の時間が一定ではなくなり、時には食事を抜いたり、逆に食べ過ぎたりすることがあります。例えば、早番勤務の日は朝食を抜きがちになり、そのために昼食を食べ過ぎてしまうことがあります。また、遅番勤務や夜勤などで夜遅い時間の食事は血糖値の増加をまねきやすく、肥満の原因になります。

また、不規則な食生活では、食事の内容が不健康になることがあります。たとえば、遅番勤務の日や夜勤明けの日は自炊するのが面倒で外食やコンビニ弁当で食事を済ませることが多くなり、高カロリーで栄養価の低い食品を選んだり、食事を抜いたりすることがあります。このような食生活は、肥満につながる可能性があります。

その他、職員の食事がゆっくりとれない施設では、早食いになりがちで、これも肥満の原因になってしまいます。

3.おすすめのダイエット方法

増えすぎた体重を落とすためには摂取カロリーより消費カロリーを大きくする必要があります。そのためには食生活を改善し、適度な運動を心がける必要があります。

3.1 食生活の改善

体重を減らすために、極端な食事制限をすると逆に太りやすく痩せにくい体質になってしまうことがあります。食生活は正しく改善していく必要があります。

3.1.1 ゆっくりよく噛んで食べる

よく噛んでゆっくりと食べることで脳の満腹中枢が働き、少量の食事でも満腹感が得られるため、食べ過ぎを防止することができます。また、よく噛んでゆっくりと食べることは内臓脂肪の分解を促進することも知られています。1回の食事で20分ぐらい時間を掛けるようにしましょう。

また、よく噛んでゆっくり食べることは血糖値の急上昇を防ぎ、肥満を防止することに有効です。食事を摂ると、炭水化物などの栄養素が消化器官によって分解され、ブドウ糖などの糖質が血液中に放出されます。これによって血糖値が上昇します。しかし、早食いは血糖値が急上昇してしまいます。血糖値が急上昇すると、脳は早く血糖値を下げようとして、より多くのインスリンを分泌します。インスリンは、血糖値を下げるために、血糖を筋肉や肝臓などの細胞に取り込ませます。糖質を取り込んだ細胞がエネルギーとして使われないと、脂肪として蓄えられてしまいます。つまり、血糖値が急上昇すると、インスリンの作用によって糖質が脂肪として蓄えられ、太る可能性が高くなります。

3.1.2 栄養バランスを気を付ける

ダイエットのために食事制限をする場合でも、栄養素をバランスよく考えて摂取するように心がけましょう。特に、たんぱく質、炭水化物、脂質のバランスが重要です。一方的に減らしすぎると、栄養不足になり、健康に悪影響を及ぼすことがあります。1日に摂取するエネルギーに対して、たんぱく質は13〜20%、脂質は20〜30%、炭水化物は50〜65%を目標にバランスよく摂取することを心がけましょう。

摂取する脂質は、飽和脂肪酸を少なくし、不飽和脂肪酸を多く摂取するようにしましょう。不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールの減少や血圧を下げてくれます。不飽和脂肪酸は体内で生成できずません。主に魚や植物に多く含まれています。

食物繊維も充分に摂取するようにしましょう。食物繊維は腸内環境を整え、便秘を防ぐだけでなく、食後の血糖値の上昇を抑える効果もあります。野菜や果物、豆類などを多く摂るようにしましょう。

ビタミンやミネラルも充分に摂取するようにしましょう。特に、鉄やカルシウム、ビタミンDなど、女性に不足しがちな栄養素には注意が必要です。

食事のバリエーションを増やし、偏りのないように心がけましょう。1日に必要な栄養素を摂るためには、多様な食材を食べることが大切です。

3.1.3 食べる順番を気を付ける

食べる順番に気を付けることにより、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

最初に野菜類を食べるようにします。次に肉や魚などのたんぱく質を食べるようにします。最後にご飯やパン、芋類、麺類などの炭水化物を食べるようにします。野菜類、肉や魚などのたんぱく質、ご飯やパン、芋類、麺類などの炭水化物をそれぞれ5分以上かけて食べると良いでしょう。

ただし、野菜類→たんぱく質→炭水化物の順番で食べても早食いをしていては意味がありません。ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。

3.1.4 夜勤時の食事に注意する

介護の仕事で夜勤をしている人は、夜間に食事をとる人もおられると思います。その場合、食事をする時間帯に気を付けましょう。

人体には、生活リズムを調整し、脂肪を貯めこむ働きがあるBMAL1があり、時間帯によってBMAL1の体内量が増減し、多い時間帯は非常に脂肪を貯めやすくなります。BMAL1は22時から夜中の2時までは最も多いため、この時間帯に食事や間食をするのは避けましょう。

3.2 適度な運動

健康的な体重を維持するためには、太りにくく痩せやすい体質にすることが理想です。そのためには食生活だけでなく適度な運動にも取り組むことをおすすめします。筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせるとダイエットには効果的です。順番としては筋力トレーニングをしてから有酸素運動をすると良いでしょう。

3.2,1 有酸素運動

有酸素運動とは、酸素を利用して体内に存在する糖質や脂質をエネルギー源として行い、軽〜中程度の負荷を継続的に筋肉にかける運動のことです。ジョギング、ウォーキング、水泳、サイクリングなどが代表的な有酸素運動になります。

有酸素運動によって、心肺機能が強化され、末梢の血液循環は改善し、代謝もよくなります。また、有酸素運動は脂肪を効率的に燃焼することができ、体脂肪の減少や、健康維持にも効果的です。その他、持久力も向上し、記憶力や学習能力も向上します。

有酸素運動に適した負荷の目安は心拍数となります。有酸素運動は最大心拍数の40~60%が望ましい負荷の目安とされており、負荷が軽すぎると脂肪燃焼の効果は薄く、重すぎると筋肉に疲労が溜まり効果が発揮されません。

室内で有酸素運動をする場合はステッパーやバイシクルマシンなどを利用すると良いでしょう。

3.2.2 筋肉トレーニング

筋肉トレーニングで特におすすめなのはスクワットです。特に器具を購入する必要もないためお金も掛かりません。

スクワットは筋力トレーニングの王道とも呼ばれ、下半身の大きな筋肉を効果的に鍛えることができます。スクワットの消費カロリーは1回約0.4キロカロリーですが、回数を重ね、継続的に取り組むことで大きなトレーニング効果をもたらします。スクワットで筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、1日の消費カロリーが増えるため、痩せやすく太りにくい体質になります。

スクワットによって鍛えられる筋肉は大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス、ひふく筋・ヒラメ筋、脊柱起立筋になり、身体の中でも特に大きな筋肉で全身の筋肉のうち6〜7割を占めると言われてます。

その他、スクワットには姿勢の改善、心肺機能の強化、脳の活性化による認知機能の維持、便秘改善効果などの効果があります。

ただし、スクワットは正しいフォームで行わないとトレーニングの効果は薄くなり、腰痛や膝痛の原因となるので注意が必要です。

スクワットの正しい方法は

  1. 足を肩幅に開き、つま先はつま先は膝と同じ向きにして、背筋を伸ばして立ちます。
  2. 背筋を伸ばしたまま、身体を少し前傾させ、お尻を突き出しながら膝を曲げて、ゆっくりと身体を下ろします。このとき、膝はつま先よりも前に出さないように注意します。また、膝から動くのではなく、股関節から動くようにしましょう。つま先が上がらないようにしましょう。
  3. 常に背筋を伸ばしたまま、膝の角度が90度になるまで下げます。
  4. ゆっくりと身体を持ち上げ、元の姿勢に戻ります。
  5. 元の姿勢に戻ったら1~4の動作を繰り返します。ダイエットとしてスクワットを行う場合は10回程度を1セットとして3セットを目安として行うと良いでしょう。

スクワットを行うときは無理は禁物でケガの原因になるため、自分のレベルに合ったトレーニングを行いましょう。また、スクワットを行う前にふくらはぎやアキレス腱をストレッチしておくと良いでしょう。

その他、上半身を鍛えるにはバーンマシンなどを利用すると良いでしょう。

食事でタンパク質がしっかり取れていれば問題ありませんが、そうでなければ筋力トレーニングの後はプロテインを取りましょう。プロテインを摂取する際は筋力トレーニング後45分以内がおすすめです。

また、筋力トレーニングにはストレス解消の効果があります。筋力トレーニングを行うことにより、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌されます。セロトニンには精神を安定させたり気分を高揚させるたりする効果がありストレス解消に有効です。

また、筋力トレーニングを行うことで、アドレナリンやドーパミンというホルモンが分泌され、集中力を高めたり、気持ちを前向きにする効果があります。

ただし、筋力トレーニングのやりすぎは逆効果となり、長時間トレーニングを行うとストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールが分泌されてしまいます。コルチゾールには筋肉を分解する働きがあります。1時間以上筋力トレーニングを行うとコルチゾールが分泌されると言われています。

4.この記事の執筆者の減量&増量体験

この記事の執筆者は25歳の時から介護業界に入りました。介護業界に入りたての時期は身長160センチで体重70キロでした。太っていました。25歳から40歳の間に体重は減ったり増えたりしました。

4.1 25歳から26歳の1年で約10キロ痩せる

1年間で10キロ痩せた時は特に痩せようとの気も無く、筋力トレーニングや有酸素運動などもしていませんでした。ただし、仕事柄座っている時間は少なく、立っている時間や歩いている時間が多く、勤務中は動き回る時間が多くありました。当時の携帯電話には万歩計の機能があり、1日約8000歩歩いていました。

酒はほとんど飲みません。間食することはほとんどありませんでしたが、夕食後たまにケーキやシュークリームなどのデザートを食べることがありました。当時は食事はよく噛んで食べるようにしていました。外食は年に数回するほどでした。

夜勤時は、ブロックタイプのカロリーメイト2本を食べていました。

そのような生活を続けていたら1年間で約10キロ痩せ、体重は60キロになりました。

4.2 その後、27歳から30歳の4年間は体重を維持

27歳から30歳までの4年間は、25歳から26歳の1年間と生活習慣はほとんど変わりありませんでした。ただし、体重の変化はほとんどありませんでした。

4.3 しかし、31歳から32歳の1年間で体重が約5キロ太る

31歳から32歳の1年で体重が約5キロ増え、65キロになりました。太った原因ははっきりと分かっていませんが考えられる原因が2つあります。

1つ目は、それなりに責任のある仕事を任されるようになり、ストレスが以前より溜まりやすくなったことです。もしかしたらストレスの影響で、食べすぎになっていたかもしれません。それから、このころから食生活では早食いになっていたように感じます。

2つ目はデスクワークが増え以前より動き回ることが減っていました。そのため、1日の消費カロリーが減っている可能性があります。その他、加齢で基礎代謝が落ちてきた可能性もあります。

4.4 33歳から39歳までは体重はほとんど変わらず

33歳から39歳まで7年間は体重は微妙な増減はありましたが、体重は65キロ前後を保っていました。31歳から32歳の1年間と比べると、職員不足などの影響でデスクワークをしながらも、介護現場に出て動き回ることが増えていました。それ以外は大きな変化はありませんでした。

4.4 40歳に現在は元の70キロの体重に戻る

2023年2月現在の体重は70キロです。訳あって、介護の仕事を離れましたが、約半年で5キロ太り70キロになってしまいました。

動き回る時間が減り、1日の消費カロリーが減ってしまった可能性があります。現在はダイエット中です。

まとめ

介護士には太りやすくなる要因がいくつかあり、体重が適性体重より増えてしまうと腰痛や膝痛などのリスクが高くなり、業務をする上でも問題が出てきます。

ただし、食生活に気を付け、継続的に適度な運動をするように心がければ、肥満を防ぎ、心身の健康も保つことができます。

参考サイト