介護士にふさわしい身だしなみや服装とは

介護士として働く場合、身だしなみや服装について気を付ける必要があります。制服などがあれば特に悩む必要はありませんが、特に制服が無い場合などはどのようにすればいいのか気になります。また、女性であれば服装以外の髪型やメイクなどの身だしなみについても気を配らなければなりません。

この記事では、介護士にふさわしい身だしなみや服装について解説していきます。

1.介護士の身だしなみや服装に規則や規定はあるのか

介護士の服装については、働く施設や方針によって異なります。制服を支給してくれる施設があれば、私服でもOKな施設もあります。制服を支給してくれる施設であれば特に悩む必要はありませんが、私服がOKな施設であれば、入職前に服装に関する基準や規則などについて確認しておく必要があります。私服がOKでも「ジーンズは禁止」といった禁止事項を定めている施設もあります。

2.施設形態によって異なる介護士の服装

介護士の服装については働く施設形態によって異なります。ここでは、施設形態ごとに介護士がどのような服装をしているのかについて服装の規定や特徴について解説していきます。

2.1 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームでは原則要介護3以上と要介護度が高い入居者が多く、身体介護する機会が多いため服装は動きやすいものが求められます。トップス(上半身に着る服)はポロシャツやTシャツなどを着て、ボトムス(下半身に着る服)はチノパンやジャージなどをはくことが多いです。

2.2 有料老人ホーム

有料老人ホームではその施設のコンセプトによって異なりますが制服によって服装が統一されている場合が多くあります。また、ホテルのように設備が充実した施設では、ホテルの従業員のような高級感と清潔感のあるスタイリッシュな制服を採用しているところもあります。

2.3 訪問介護

訪問介護では大きな事業所では制服が用意されることが多く、中小規模の事業所ではその事業所の規定に従って介護士自身が用意する場合が多くあります。介護士自身で服装を準備する場合は、買い物や利用者との散歩などをすることもあるため、動きやすい服装にすると良いでしょう。

2.4 デイサービス、デイケア、病院、老健など

デイサービスや病院、老健(介護老人保健施設)ではポロシャツとジャージなど動きやすい制服が支給されることが多くあります。また、病院やデイケアなどのように看護師やリハビリスタッフ、介護士などいろいろな職種の人が働く施設では職種ごとに制服が分けられている場合が多くあります。

3.服装の選び方のポイントについて

施設が制服を支給している場合は特に悩む必要はありませんが、私服OKの場合は以下のポイントで服装選びを行うと良いでしょう。

3.1 安全性

介護士の服装について重要になることが安全性についてです。装飾が多い服は利用者・入居者の身体介助をしているときに皮膚などに触れてしまい、思わぬけがを負わせてしまうことがあります。また、装飾に利用者・入居者の髪が絡まって引っ張ってしまうこともあります。

安全性について考えた場合、装飾は出来る限り少ない方が良いでしょう。また、ポケットについても車いすのハンドルに引っかかってしまい事故の原因になることもあるため、無駄にポケットが多くある服は避けた方が良いでしょう。

3.2 清潔感

清潔感も重要なポイントです。介護の現場では身体介助をする際に利用者・入居者の体に直接触れることがあるため不快感を与える服装は避けた方が良いでしょう。汚れやしわ、穴などが開いている服、下着が透けて見える服などはあまり良い印象を与えません。

3.3 動きやすさ・歩きやすさ

動きやすい・歩きやすい服は仕事をする上で重要になってきます。身体介助をすることが多いため動きやすさはもちろんのこと、介護の現場では動き回ることが多いため歩きやすいことも重要です。

また、服のサイズも自分に合ったものを選ぶ必要があります。服やズボンが小さいと膝やひじを曲げにくく動きにくくなることがあり、逆に大きすぎるとズボンの裾を踏んでしまったりして歩きにくくなることもあります。その他、服やズボンのサイズが合わないために自分自身の下着などの露出が気になり、思い通り動けないということも避ける必要があります。

3.4 通気性のよさ

介護の現場では動き回ることが多いため、通気性の良さも重要になります。介護施設では夏場はもちろんのこと、冬場も暖房がよく効いているため動き回ると熱くなります。熱がこもってしまう服は介護士に思っている以上の負担を掛けてしまいます。

3.5 洗濯のしやすさ

介護の仕事は動き回ることが多いため、冬場でも汗をかくことがよくあります。また、排泄介助などをすることもあるため服が汚れてしまうこともあります。そのため、洗濯をこまめにする必要があります。

洗濯したときに服が縮まない服や型崩れしにくい服を選ぶ必要があります。また、洗濯後は乾きやすい服を選ぶ必要もあります。

4.介護士におすすめの服装

介護士におすすめの服装についてトップス、ボトムス、エプロン、靴で解説します。

4.1 トップス

トップスでおすすめなのはポロシャツです。動きやすく洗濯もしやすいため便利です。また、介護現場では排泄介助をする機会があるため、袖をまくり上げた時に落ちてこないものを選んだほうが良いでしょう。

入浴介助の時は服がぬれ、汗も出るためTシャツが良いでしょう。

4.2 ボトムス

介護士は動くことが多く、身体介助をするときはしゃがんだりすることがよくあるため、動きやすいチノパンや伸縮性のあるジャージを選ぶと良いでしょう。ただし、ジャージはNGの職場もあるため、入職前に事前に確認しておきましょう。

また、入浴時は半ズボンをはくのが一般的です。

4.3 エプロン

食事介助や水回りの仕事をするときにエプロンを着ることがあるため撥水性のあるものを選ぶと良いでしょう。

4.4 靴

介護士は歩くことが多く、身体介助でも踏ん張らなければならないことがあるため、靴はスニーカーや運動靴が良いでしょう。また、介護現場では靴を着脱することが多いためスリッポンやクロックスなども便利です。ただし、スリッパやサンダルは脱げやすく、踏ん張りも効きにくいため避けた方がよいでしょう。

5.服装以外の身だしなみについてのポイントについて

服装以外にも気を付けるべき身だしなみについて解説します。

5.1 髪型

女性の場合はショートヘアでない場合は、ヘアバンドなどで髪は束ねておきましょう。また、長すぎる髪は介助するときに邪魔になったり、利用者・入居者に触れて不快な思いをさせてしまう可能性があるため避けた方が良いでしょう。

また、前髪で顔が隠れないようにしましょう。不潔感を与え、表情もわかりにくくなるため他の人に不快感を与えてしまう可能性があります。前髪が目にかからないように髪をカットするかピンでとめておきましょう

髪は派手な色は避け、自然な黒色かダークブラウンにしましょう。

5.2 メイク

メイクに関しては薄化粧にしましょう。派手なメイクやケバいメイクは避けましょう。

5.3 アクセサリー

アクセサリーは身体介助の時に、利用者・入居者に触れた時にけがをさせてしまう可能性があるためアクセサリーを身に付けるのは避けましょう。

また、結婚指輪については認めている施設もあるため確認してみると良いでしょう。

6.介護士がNGな身だしなみや服装とは

利用者・入居者や他の職員に不快感を与える身だしなみや服装は避けた方が良いでしょう。どんな服装や身だしなみがNGなのか解説します。

6.1黒い服

黒い服は利用者・入居者に死や喪服を連想させるため、介護施設では避けましょう。

6.2 装飾の多い服

装飾の多い服は利用者・入居者の身体介助に皮膚などに触れてしまいけがを負わせてしまったり、ボタンなどの装飾が髪が絡んだりして引っ張ってしまう可能性があるため避けましょう。また、取れたボタンや飾りなどを認知症の利用者・入居者が誤飲してしまう可能性もあります。

6.3 派手な服

派手な服は施設内で浮いてしまう可能性があり、利用者・入居者やその家族の注目を集めてしまう可能性があります。目立つために介護士の言動や行動に注目が集まり、落ち着いて仕事が出来なくなる可能性があります。また、注目を集めやすいために、言動や行動がまずかった場合、利用者・入居者に対してより悪い印象を与えてしまう可能性もあります。

6.4 露出の多い服

露出の多い服は利用者・入居者やそのご家族、他の職員に不快感を与えてしまう可能性があります。また、露出の多い服を女性介護士が着ていると、男性の利用者・入居者からセクハラなどの被害にあう可能性もあります。

6.5 たばこやにおいのきつい香水をしている

たばこのにおいについて不快に思う人もおられます。喫煙後は消臭ケアをしましょう。また、匂いのきつい香水も他人に不快感を与える可能性があるので避けましょう。その他、口臭や体臭についても気を付けた方が良いでしょう。

6.6 ひげの手入れをしていない

男性の場合はひげの手入れもしておきましょう。ひげを伸ばしていると不潔な印象を与えてしまう可能性があります。

6.7 入れ墨

入れ墨は反社会的なイメージがあり、周りの人に威圧感を与えるのでNGです。

まとめ

この記事では介護士の身だしなみや服装について解説しました。入職前に身だしなみや服装について施設側に確認してみる必要があります。制服があれば特に問題ありませんが、私服であった場合は施設の基準に沿って服装を選ぶ必要があります。

介護の仕事では多くの人と関わってきます。そのため、周りの人間に対して悪い印象を与えないことが重要です。身だしなみや服装のせいで利用者・入居者やそのご家族、他の職員と良い関係を築くことが出来なければ、業務面でも悪い影響が出てきます。また、身だしなみや服装によって、利用者・入居者に不要な怪我や事故を負わせてしまう可能性もあります。

利用者・入居者に好印象を与え、自分自身も気持ちよく働けるように適した身だしなみや服装で働くことが大切です。

参考サイト