介護DXは介護士の救世主になるのか

介護業界といえば、慢性的な人手不足などで労働環境が過酷で介護士に対して大変そうな印象を持っておられる方は少なくないと思います。さらに、役職がつくと、現場業務以外にも事務仕事などの業務もしなければならないこともあり、出世するとより過酷さが増すこともあります。

介護業界が抱える問題の解決に介護のDX化が期待されています。この記事では介護DXの推進が介護士などの負担を軽減し、労働環境の改善につながるのかを考えてみたいと思います。

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語です。直訳すると「デジタルによる変容」となります。

経済産業省によれば、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっています。

介護のDX化はAIやICTやIoTなどのデジタル技術を活用して介護業務の改善を図り、介護士の負担を軽減し、利用者・入居者に関わる時間を増やすことでより質の高い介護サービスの提供を目指すための取り組みといえるでしょう。また、AIを活用して利用者・入居者により最適な介護サービスを導き出し、提供することを目指す取り組みともいえるでしょう。

AIについてはアナリティクスおよびAIのプラットフォームを開発・販売するソフトウェア企業sasのサイトに分かりやすく解説してありました。AIは人工知能のことで、人間の知的なふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したものと解説してありました。

ICTとIoTについては東京エレクトロンデバイスのサイトで分かりやすく解説してありました。ICTは情報通信技術で人とインターネットをつなぐことで、人と人をつなぐ技術と解説してありました。また、IOTはモノのインターネットはあらゆるモノがインターネットにつながる状態もしくは技術と解説してありました。

2.介護業界がDX化を進めるメリット

ここでは介護業界がDX化を進めるメリットについていくつか考えてみたいと思います。大きなメリットとしては、業務が効率化されて介護士の負担が軽減することだと思われます。

2.1 介護記録の文書をペーパーレス化

ある程度、規模の大きな施設になると介護ソフトを導入して利用者・入居者の介護記録などは電子化しており、記録を入力する作業もタブレット端末やパソコンなどを使って記入しています。しかし、規模の小さな施設では利用者・入居者の介護記録の管理、記入を紙で行っているところもあり、記録を記入する作業も手書きで行っています。

このブログの管理者も介護記録の記入を手書きで行っていた施設とタブレット端末やパソコンなどを使っていた施設の両方に勤めた経験がありますが、やはり介護記録の記入作業に大きな差が出ていました。以下は実体験をもとに書いています。

2.1.1 日々の介護記録を利用者・入居者を記入するときについて

記録を手書きで行っていた時は、それぞれの利用者・入居者のカルテをしまってある場所から探し取り出す作業、記入作業が終わりカルテを元の場所にあった戻す作業、記録用紙がなくなれ補充する作業などがあり意外に大変であり、時間もそこそこかかっていました。介護記録が電子化された施設で働き始めたときはこれらの作業がなくなり、非常に大きな時間短縮になっていたと実感しました。また、記録の修正作業も手書きよりも簡単に行うことが出来ました。

2.1,2 ある期間の利用者・入居者のバイタルや日々の様子などを調べるときについて

介護ソフトを導入している施設では、利用者・入居者の介護記録は共有管理されているため調べる作業も時間が短縮され、楽になったと感じました。

2.2 センサーなどを使った見守りで入居者の見守り回数の削除

ベッドやベッド周辺にセンサーマットなどを取り付けることで、転倒事故の防止、見守り回数の削減などにつながり介護士の負担軽減の効果もあります。また、利用者・入居者にウェアブルデバイスを付けていただくことにより、腹部のぜん動運動を感知し排泄のタイミングを知ることが出来たり、体調の急変などにも素早く対応できる可能性もあります。

2.3 介護サービスの質が向上する

ケアプランを作成するときに利用者のこれまでの介護記録と過去に同じような利用者のデータをもとにAIを活用することによって、より最適な介護サービスを提供するのに大きな助けになる可能性があります。

3.転職・就職をするなら介護DXの推進に前向きな施設へ

介護DXの推進は介護士の負担軽減になると思われますが、介護業界ではDX化が進んでいるとは言い難く、まだまだ改善の余地はあります。とは言え、今後も介護業界で働き続けようと思えば介護DXの推進に消極的な施設より、積極的な施設で働くことをおすすめします。

介護のDX化をし始めた施設などは、最初は現場が混乱したりすることがあるかもしれませんが、課題解決に前向きに取り組み、業務の効率化に取り組んでいる施設は将来的には介護士の負担軽減と利用者・入居者により質の高い介護サービスを提供を実現できる可能性があります。

施設が介護DXの導入に前向きかどうかは実際に働き続けてみないと分からない面もありますが、就職・転職などの時に「業務の効率化をどのように取り組んでおられるのか」、「介護記録の記入はどのようにしておられるのか」などを確認してみることも1つの方法です。直接、「介護のDX化に前向きですか」と聞くのは避けた方がいいかもしれません。あと、施設などのWebページの有無やWebページの充実度なども参考にしてみると良いでしょう。

まとめ

今後も介護業界は慢性的な人手不足や認知症高齢者の増加により介護士の労働環境は過酷な状況が続くことが予測されますが、介護DXが大きな助けになる可能性もあります。介護DXを積極的に進めてきた施設とそうでない施設では大きな差が出てくる可能性があります。

介護DXの推進に前向きかどうかも就職・転職する際の判断基準として考えていく必要があると思います。

参考サイト